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第108回学術集会(平成16年10月10日(日))
【一般演題】
性器異常/不妊 腹腔鏡下卵管不妊手術の日本における有用性
中野 眞佐男, 櫻井 友義, 中林 章, 秋葉 靖雄, 小関 みづほ, 小西 康博
済生会神奈川県病院産婦人科
母体保護法により規定されている不妊手術とは,生殖腺を除去することなしに,生殖を不能にする手術で厚生労働省令をもって定めるものをさす.この内,腹腔鏡を用いて行う術式は卵管焼しゃく法で,膣式卵管圧挫結紮法に比べて簡易,かつ安全である.当院では本法を最も妊娠率の少ないunipolar coagulationで行っている.しかし,適応となる症例が極めて少ないのも事実(当院では15年間で2例)である.卵管不妊手術で最も多いのは反復帝王切開時の卵管圧挫結紮術(15年間で116例)であり,次が経膣分娩後の腹式卵管圧挫結紮術(15年間で6例)である.日本は急激に少子化時代に突入し,合計特殊出生率が1.29まで低下し,東京都では1.00とついに1を割りそうになっている.帝王切開率(当院では平成15年度19.3%)も高く,医事紛争が多くなれば益々この率も高くなることが予想される.このことは,産褥時の不妊手術(ほとんどが帝王切開時)を除けば,非可逆的な不妊手術の選択肢がなくなってくることを意味する.これに反し,アフリカやアジアの一部では今でも人口増加が問題になっており,食糧不足をきたしている.このような地域では腹腔鏡下卵管不妊手術が最も確実で(経口避妊薬やIUDのような継続的にケアーが必要な医療に比べ)安全な方法と考えられる.費用の問題はあるが,腹腔鏡手術がここまで発展した日本で,この分野での国際貢献ができるような知恵を出したい.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(3)
312-312, 2004
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