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第108回学術集会(平成16年10月10日(日))

【一般演題】
性器異常/不妊
Laparoscopic ovarian drillingはPCOSの流産率を減少させるか?


江崎 敬, 林 博, 高田 全, 斎藤 元章, 杉本 公平, 斎藤 絵美, 遠藤 尚江, 渡辺 明彦, 窪田 尚弘, 斎藤 隆和, 新美 茂樹, 田中 忠夫
東京慈恵会医科大学産婦人科


 クロミフェン抵抗性の多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の不妊症の排卵誘発は難渋することが少なくない.通常ゴナドトロピン療法が選択されることが多いが,卵巣過剰刺激症候群,多胎妊娠などの問題を含む治療法である.一方外科的治療として古くは開腹手術によるovarian wedge resection,現在ではlaparoscopic ovarian drillingが行われ,良好な排卵率,妊娠率が報告されている.PCOSにゴナドトロピン療法を施行し,妊娠が成立しても,初期流産の頻度は高いと報告されている(24〜39%).本疾患の高い血中LH値が卵に対して悪影響を及ぼしていることが原因のひとつではないかと推測されている.PCOSに対してlaparoscopic ovarian drillingを施行し,血中LH値を低下させることが,術後の妊娠成立およびその予後を改善させるかについて検討した.日本産科婦人科学会の診断基準を満たすPCOS症例でクロミフェン抵抗性を示す40例にlaparoscopic ovarian drillingを施行した.術前の平均LH値は11.0mIU/mlであったが,術後5.2 mIU/mlと低下した.術後自然排卵は33例82.5%に認められた.術後22例が妊娠が成立した.その内訳は,自然妊娠13例,AIH6例,IVF3例であった.その後初期流産したものは0例であった.PCOSに対するlaparoscopic ovarian drillingはゴナドトロピン療法に比し,流産率を悪化させることはなくむしろ,減少させる可能性のある治療法であると考えられた.日産婦関東連会報 第41巻3号
2004.



日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(3) 312-312, 2004


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