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第109回学術集会(平成17年6月12日(日))

【ランチョンセミナー4 38歳,不妊.子宮腺筋症による月経困難と過多月経が著しい.こんな時どうする.】
1)子宮腺筋症に対する妊孕能温存手術の方法と成績


菊地 盤, 武内 裕之, 北出 真理, 木下 勝之
順天堂大学産婦人科


【目的】子宮腺筋症は激しい月経痛,過多月経を主訴とし,各種治療に抵抗する不妊を伴う疾患である.当教室では病巣が限局する腫瘤形成型の腺筋症の不妊症例を対象に腺筋症切除術(adenomyomectomy)を施行してきた.この術式の変遷とその効果について供覧する
【方法】腺筋症組織は正常筋層に比しやや白く硬いため,病巣と正常筋層の判別は比較的容易である.視診と触診により,取り残しを避けるよう病巣をやや大きめに摘出する.子宮筋腫核出術に順じ,バソプレッシンの局注により出血量を減少させている.術式には大きく分けて2通りある.
 第1法は筋層をV字型に切り込み,漿膜を病巣とともに切除するいわゆるwedge resectionである.この方法では正常筋層が大きく開き,縫合が困難な場合が多い.そこで筋層に大きく仮縫いの糸を数針かけ創縁を近づけて縫合し,死腔を作らずに閉創を可能としている.しかし,本法では腺筋症の大きな例では筋層の欠損が大きくなる傾向がある.
 第2法はHyams,長田らが報告した方法で,まず腺筋症病巣を底部まで切開し,左右に分かれた病巣をえぐるように摘出する方法である.腺筋症は内膜側から発生することが多いためさらに大きく切除を行うことが可能である.Hyamsらは切除後の筋層をそのまま縫合していたが,長田らは漿膜側の筋層を残しフラップを形成し左右に重ね合わせる術式を報告した.これらはいずれも腹式の方法である.われわれはこれらの方法を腹腔鏡下に応用し,子宮に水平方向に切開を行い上下のフラップを重ね合わせる方法を施行した.
 また,術前のMRIゼリー法により,ダグラス窩の閉塞が疑われた症例にのみGnRHa製剤を術前2〜3クール使用した.
【結果】術前後の月経時のmedianVASは10(range 9―10)→2.5(range 1―6)で著明に改善していた.また,術前に不妊の主訴のあった16例の患者のうち7例(43.8%)に妊娠が成立した(腹式手術を含む).
【結論】妊孕能の温存を希望する子宮腺筋症のadenomyomectomyは月経困難と過多月経を著明に改善させ,さらに比較的高い術後妊娠が期待できる.本術式は再発の危険性を包含しながらも腹腔鏡下に妊孕能温存手術が可能である優れた術式であると思われる.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(2) 154-155, 2005


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