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第109回学術集会(平成17年6月12日(日))
【一般演題】
妊娠・分娩1 抗凝固療法を施行した血栓性素因(Thrombophilia)合併妊娠6症例の検討
田村 直顕1), 杉村 基2), 福田 有佳2), 木村 聡2), 大橋 涼太2), 河村 隆一2), 西口 富三2), 金山 尚裕1)
浜松医科大学産婦人科1), 浜松医科大学周産母子センター2)
【目的】Thrombophilia合併妊娠に対する抗凝固療法の開始時期について治療的意義を考慮し検討する.【方法】以下6症例の子宮動脈Pulsatility Index(PI),TAT,FDP-DDの変動を調べた.症例1:原発性APS,36才,G0P0,DVT既往あり,妊娠初期からアスピリン,ヘパリンを併用,37週で分娩.PIは±1.0SD内,TATは分娩前12ng/mlまで徐々に上昇した.症例2:続発性APS,35才,G0P0,18才でSLEと診断.妊娠10週からアスピリン,ヘパリンを併用,30週でSLEコントロール不良となり帝王切開.児は1184g.PIは経過中平均値以上,TATは11ng/mlまで上昇.症例3:先天性AT異常症,33才,初産,妊娠初期からAT3,アスピリン,ヘパリンを投与,39週で帝王切開.PIは+SDから平均へ改善,TATは18ng/mlまで上昇.症例4:先天性AT異常症,28才,G2P1,DVT,妊娠中毒症,abruption(IUFD)既往あり.妊娠16週からAT3,アスピリン,ヘパリンを投与,36週に正常分娩.PIは経過中平均値以上,TATは18ng/mlまで上昇.症例5:先天性プロテインS異常症,39才,G3P1,abruption(IUFD)既往あり,妊娠初期よりヘパリン投与開始,37週に帝王切開.PIは+1.0SDから平均へ改善し,TATは10ng/ml前後で推移.症例6:原発性APS,26才,G1P1,妊娠初期からヘパリン投与,28週にIUGRのため帝王切開,児は752g.PIは±1.0SD内で推移.TATは10ng/ml前後で推移.【結果】抗凝固療法の開始が早ければ早いほど子宮動脈PIや凝固パラメーターが正常に推移する傾向にあった.【結論】胎盤形成期からの抗凝固療法は過凝固状態が背景にあるThrombophilia合併妊娠では治療だけでなく予防にもなる可能性がある.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(2)
168-168, 2005
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