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第109回学術集会(平成17年6月12日(日))
【一般演題】
妊娠・分娩2 産褥期に顕著化した成人発症スティル病の一例
吉井 明日香1), 倉田 章子1), 村岡 光恵1), 高木 耕一郎1), 太田 博明2)
東京女子医科大学附属第二病院産婦人科1), 東京女子医科大学病院産婦人科2)
成人発症スティル病は若年性関節性リウマチの疾患の一つで,関節症状より全身症状を主徴とし,不明熱の原因として診断が困難なことで知られている.本疾患は20から30代の若年女性に好発することが多いが,妊娠との合併に関する報告は少ない.我々は正常分娩後,38℃以上の高熱と関節痛が出現し,成人発症スティル病と診断された症例を経験した.症例は27歳,未経産.25歳時,結節性紅斑にてステロイド投与後緩解し再燃なく経過.妊娠11週頃より両足底部の腫脹,疼痛,関節痛が出現.妊娠29週より貧血に対して鉄剤投与するも改善せず.原因不明の発熱とCRP高値を認めた.IUGRならびに貧血(Hb8.8g/dl),CRP高値の精査目的で,妊娠38週2日,当科へ母体搬送された.入院時,母体は微熱程度で明らかな関節炎症状は認めず,推定児体重は2100gとIUGRを認めたが,NST,Doppler血流計測では異常なく,抗核抗体,RA因子は陰性であった.妊娠39週4日,自然経腟分娩(2036g,Apgar score10/5分)となった.臍帯は側方付着で,胎盤は240gと週数に比べ小さく,病理組織所見ではsyncytial knotの増加を認めた.産褥2日より38度以上の高熱と関節痛の増悪を認めたが,産科的には異常なく,感染症や悪性新生物も除外され,最終的に成人発症スティル病と診断された.ステロイド療法開始後,発熱,関節痛,貧血は速やかに消失した.成人発症スティル病と妊娠との関連,特に胎児発育への影響について,文献的考察を加えて報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(2)
171-171, 2005
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