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第109回学術集会(平成17年6月12日(日))
【一般演題】
妊娠・分娩2 産後会陰切開部に自壊性潰瘍を呈しsweet病が疑われた1例
山地 沙知, 小林 恵美里, 石井 譲, 田中 圭, 上杉 健哲
成田赤十字病院産婦人科
Sweet病は発熱,末梢血好中球増多,滲出性紅斑といった臨床症状を呈し,真皮に好中球浸潤がみられる病理組織像によって診断される非常に稀な疾患である.また妊娠に伴うSweet病の報告は10例ほどでそのほとんどは妊娠初期から中期に発症しており,産褥期に発症した例は極めてまれである.今回我々は,会陰切開部に自壊性潰瘍を形成し,診断,治療に困難をきわめた1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する. 症例は32歳,2経妊1経産.妊娠経過は特に異常を認めず,36週4日に自然陣痛発来し,遷延一過性徐脈のため会陰切開後吸引分娩にて出産した.産褥1日目より39℃台の発熱,WBC,CRP上昇を認め,会陰創部感染を疑い抗生剤による治療,会陰再縫合,ドレナージを行った.しかし感染徴候は増悪し,縫合部に無菌性の自壊性潰瘍を呈し,針反応陽性,その後DICとなり産褥11日目にICU管理となった.前回分娩後も他院で同様の経過をたどっていたため全身検索を行ったが抗核抗体,抗SS-A,抗SS-B抗体等自己抗体は陰性で自己免疫疾患は否定的であり,血液疾患,悪性腫瘍の合併も認めなかった.筋肉注射部位の自壊性潰瘍よりの皮膚生検で真皮に好中球主体の細胞浸潤を認め,Sweet病が疑われた.このためプレドニゾロンによる治療を開始した.その後全身状態は改善に向かい,段階的に減量,内服を中止した後も異常は認めていない.自壊性潰瘍部は肉芽の形成を待ち完治に約4ヶ月を要した.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(2)
172-172, 2005
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