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第109回学術集会(平成17年6月12日(日))
【一般演題】
妊娠・分娩2 過去5年間に経験した子癇4症例
依田 綾子, 小堀 宏之, 川原 康緒, 大渡 理恵, 阿部 弥生, 三和 紀子, 阿部 礼子, 長澤 敢, 山本 勉
越谷市立病院産婦人科
子癇は妊娠にともなう重篤な合併症の一つであり,周産期母体死亡の誘因となりうる.当院で1999年以降に経験した子癇4症例を提示し,文献的考察を加え報告する.今回経験した症例の妊娠経過はすべて他院で管理されており,妊娠中毒症の悪化及び子癇発作の発症により当院に搬送となった.年齢は20歳代3例,30歳代1例であり,妊歴は初産婦2例,経産婦2例であった.3例が子癇発作前に妊娠高血圧を指摘されていた.発症時期は妊娠26週1例(妊娠子癇),妊娠36週2例(妊娠子癇1例・産褥子癇1例),39週(産褥子癇)であった.子宮内胎児発育不全は3例に認めた.前駆症状は,心窩部痛2例,頭痛2例であった.全症例に頭部CTを施行したが,子癇の予後不良因子といわれる脳室内出血を併発した症例は認めなかった.症例の中にはHELLP症候群及び腎不全を合併し,血液透析を10回施行した症例や呼吸状態が安定せずに4日間の挿管を必要とした症例も存在したが,全症例で母体は後遺症を残すことなく軽快した.子癇は妊娠中毒症管理の確立により減少傾向であるが,重症化すると死に至る疾患である.さらには発症が急激であったり,早産が予想される場合もあるため,小規模施設では対応が遅れることもありうる.当施設周辺には小規模な分娩施設が点在しており,今後はこれらの医療機関と更に連携を深め,子癇の予防に努めていくことが重要であると思われた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(2)
173-173, 2005
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