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第109回学術集会(平成17年6月12日(日))
【一般演題】
妊娠・分娩3 妊娠17週で破水の後,妊娠30週まで妊娠継続管理し生児を得た一例
窪田 貴子, 中山 大栄, 高橋 千絵, 加塚 祐洋, 柳下 正人, 井坂 恵一
東京医科大学産婦人科
症例は36歳3回経妊1回経産婦,30歳で子宮内感染の適応にて帝王切開,32歳,33歳時共に自然流産のため流産手術の既往がある.家族歴に特記すべきことなし.他院にて妊婦健診中,妊娠17週時に破水感を自覚,肉眼的に羊水の流出あり,IGFBP-1陽性のため前期破水と診断した.子宮口は閉鎖,頸管長も十分保たれており,炎症徴候は認めなかったので局所洗浄のみで経過観察されていた.その後羊水量減少傾向認められたため,妊娠24週3日当科に紹介された.来院時羊水はほとんど認められず,またIUGRを認めたが羊水過少を来す明らかな胎児異常は認められなかった.羊水流出は100g/日程度あり,羊水腔の増加は認められなかった.当院にて継続して局所の洗浄のみで経過観察していたが,胎児発育の停止を認めたため妊娠30週2日帝王切開により女児分娩となった.児は1040g,胎盤に絨毛羊膜炎の所見は認められなかった.炎症徴候が認められないまま経過した要因として,炎症の先行なしに破水し,適当量の流出が続いたため,羊水中のtrypsin inhibitorの効果,羊水流出による洗浄効果,母体の局所免疫能などが有効に作用したものと考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(2)
174-174, 2005
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