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第109回学術集会(平成17年6月12日(日))
【一般演題】
その他の悪性腫瘍2 肝癌からの転移性子宮腫瘍の1例
佐藤 智之, 竹下 茂樹, 梅沢 幸一, 須藤 裕美子, 有村 賢一郎, 小泉 仁嗣, 梁 栄治, 布施 養慈, 綾部 琢哉, 冲永 荘一
帝京大学病院産婦人科
肝細胞癌の他臓器への転移は,肺,リンパ節,副腎,門脈,骨などに多く,婦人科臓器への転移は稀である.今回我々は肝細胞癌術後に子宮転移をきたした症例を経験したので報告する.症例は63歳,閉経50歳.平成14年4月,肝細胞癌のために肝臓部分切除,脾摘,胆摘の手術を受けている.その後再発の兆候はなかったが,平成16年8月上旬頃から38℃台の発熱が持続し,腹部CTで子宮腫大が認められたため,精査目的で当科へ入院となった.内診で子宮は新生児頭大,両側付属器は触知せず,子宮に一致した圧痛は認めなかった.子宮頚部,内膜細胞診はともにclassII.骨盤腔MRIにて子宮体部は凹凸不整に腫大し内部は不均一な像を呈し,骨盤リンパ節も腫大していた.抗生剤投与によっても解熱せず,子宮腫瘍が発熱の原因である可能性や,悪性腫瘍を考え手術療法を選択した.開腹すると子宮と付属器は一塊となり,脆弱で易出血性の腫瘍を形成していた.左外腸骨および左閉鎖リンパ節の腫大を認めた.単純子宮全摘術+両側付属器切除術+骨盤リンパ節生検を施行した.病理検査では,肝細胞癌の子宮転移と診断された.術後は速やかに解熱し,術後24日目に退院した.その後当院外科で経過観察していたが,再入院,DICで当科での術後98日目に死亡した.既往に原発癌の治療歴がある症例で,外来レベルでの病理組織学的検査では悪性の所見が得られなくとも,子宮腫大が認められ画像上悪性の可能性が疑われるような症例では転移性子宮腫瘍も考慮するべきである.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(2)
183-183, 2005
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