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第109回学術集会(平成17年6月12日(日))
【一般演題】
その他の悪性腫瘍3 子宮頸癌再発,膀胱直腸腟瘻の違和感に対しくも膜下フェノールブロックを施行した一例
飯田 泰志1), 小林 裕美子1), 内野 麻美子1), 平間 正規1), 渡辺 明彦1), 小林 重光1), 落合 和彦1), 田中 忠夫2)
東京慈恵会医科大学青戸病院産婦人科1), 東京慈恵会医科大学産婦人科2)
(症例)38歳女性,平成14年10月に他院にて子宮頸癌Ib期の診断のもと拡大子宮全摘術および術後全骨盤放射線治療を施行.平成15年6月に断端再発にて当院紹介,化学療法にて腫瘍縮小を得られるも再燃したため平成16年1月より2nd line化学療法にあわせ癌性疼痛に対し硫酸モルヒネの内服を開始するも4月には腫瘍PDにて膀胱腟瘻となる.その後は緩和治療を主体とし外来通院にて経過観察していたが12月には直腸腟瘻も合併,持続的に便意を感じる違和感および食欲不振にて12月18日に入院となる.入院時すでに歩行できない状態,癌性疼痛に対し硫酸モルヒネからフェンタニルパッチに変更し症状軽快するも,膀胱直腸腟瘻の違和感だけは鎮痛補助薬を併用してもコントロールは困難であった.そのためL5/S1より硬膜外麻酔(Ropivacain+塩酸モルヒネ)を施行したところ疼痛とともに陰部違和感の軽快も得られた.その後持続的硬膜外麻酔を使用していたがカテーテル挿入部の感染徴候を認めてきたため,仙骨領域のくも膜下フェノールブロックが適応と判断し,インフォームドコンセントの上で硬膜外麻酔を中止とし座位にて10%フェノールグリセリン0.3mlにてL5/S1よりくも膜下ブロックを施行した.その後疼痛,違和感の軽減が得られている.その後状態は落ち着いていたが,腫瘍からの出血が増加し多臓器不全となり平成17年1月14日に永眠されている.(結論)子宮頸癌再発,膀胱直腸腟瘻の違和感に対するくも膜下フェノールブロックは疼痛のみでなく違和感に対しても有効であった.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(2)
184-184, 2005
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