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第109回学術集会(平成17年6月12日(日))
【一般演題】
その他の悪性腫瘍4 当院で経験した絨毛性疾患22例の検討
山上 亘, 青木 大輔, 玉田 裕, 鈴木 直, 進 伸幸, 野村 弘行, 江澤 佐知子, 吉村 泰典, 野澤 志朗
慶應義塾大学産婦人科
【目的】絨毛性疾患特に絨毛癌はかつては予後不良の疾患であったが,絨毛性ゴナドトロピン(hCG)測定系や化学療法等の進歩により予後の著しい改善が認められた.しかし,依然として治療抵抗例が認められ,また寛解についての一定の基準がないため,診療に苦慮する症例も多い.我々は22例の絨毛性疾患の治療例を経験したので報告する. 【方法】1993年4月から2004年12月までに当院で治療を行った22例について背景や血清hCG値の変化と予後等について検討した. 【結果】22例の内訳は胞状奇胎4例,奇胎後存続絨毛症1例,侵入奇胎9例,絨毛癌8例であり,存続絨毛症,侵入奇胎,絨毛癌に対して化学療法を施行した.hCG値がcut off値前後で変動する症例もあるため,hCG-CTP等の他のhCG測定系やhCG-β値も併用し寛解判定を行った.また,閉経や化学療法による卵巣機能の低下が認められる症例では,hCG like substanceによるhCG値の上昇が認められることがあるため,Estrogen-Progesterone合剤(EP合剤)の投与によりhCG値のcut off値以下への低下が認められるかどうかを確認することで残存腫瘍の有無を推定した.侵入奇胎,絨毛癌の寛解までに要した時間はそれぞれ6.5±2.8ヶ月,18.8±14.1ヶ月であり,再発はそれぞれ0例,3例であった.侵入奇胎,絨毛癌ではWHO予後スコアと寛解までに要した時間に相関関係が認められた. 【考察】寛解の判定が困難な症例では,複数の測定系の併用やEP合剤の投与によるhCG like substanceの抑制が残存腫瘍の有無の推定に有用であった.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(2)
186-186, 2005
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