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第109回学術集会(平成17年6月12日(日))
【一般演題】
その他の悪性腫瘍4 手術療法が有効であった臨床的絨毛癌の1例
鈴木 紀雄, 小川 公一, 御子柴 尚郎, 中山 健, 栗城 亜具里, 近藤 哲郎, 安藤 直子, 高橋 諄
昭和大学横浜市北部病院産婦人科
帝王切開分娩後18ヶ月で臨床的絨毛癌を発生,多剤併用化学療法にて寛解に至ったがhCGの再上昇を起こし子宮全摘術を選択した症例を経験したので報告する.(症例)30歳女性.1経妊1経産.当院にて前置胎盤のため帝王切開術を行っており,授乳中であった.分娩の14ヶ月後月経再開し順調であったが,18ヶ月後月経が終了しないため受診.超音波検査で子宮底部筋層に血流に富んだ異常陰影を認めた.妊娠の可能性はないにもかかわらず尿中hCGは1000mIU/mlであった.絨毛癌を疑い骨盤MRIを行ったところ子宮底部筋層内に不均一な造影効果をもつ血流の豊富な腫瘤を認めた.絨毛癌診断スコアは14点であり臨床的絨毛癌と診断した.頭部,胸部,腹部CTによる精査では多臓器に転移を認めなかった.WHO予後スコアは8点で,高リスクと判断したため多剤併用化学療法(EMA/CO療法)を9コース行い寛解に至った.血中hCGは測定感度以下であり,病巣は縮小し血流も乏しく壊死に至っていると判断した.挙児希望があったため子宮を温存し経過観察としたが,治療終了4ヶ月後血中hCGの再上昇を認めた.このため,追加の治療法として化学療法または手術療法を提示,本人の選択で腹式単純子宮全摘術を行った.手術1週間後より血中hCGは測定感度以下を呈した.その後外来経過観察中であるが再燃の徴候は現在まで認めていない.(考察)絨毛癌は化学療法が非常に有効な疾患とされているが,化学療法抵抗性で病巣が限局している場合は手術療法も治療の選択枝とされる.今回文献的考察も含め報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(2)
187-187, 2005
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