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第109回学術集会(平成17年6月12日(日))
【一般演題】
更年期・老年期 長期ペッサリー挿入にて直腸膣穿孔を引き起こした一例
苅部 瑞穂, 石川 哲也, 野口 有生
大和徳洲会病院産婦人科
子宮脱に対してペッサリー挿入は頻用されている治療法であるが,周囲への癒着や糜爛・潰瘍・瘻孔形成などの合併症が指摘されており,定期的な検診が必要とされる.今回我々は5年間エボナイトペッサリー挿入のまま放置したため,直腸腟穿孔を引き起こした症例を経験したので報告する.症例は77歳,5経妊5経産,20年前より膀胱脱指摘されペッサリー(80mm)挿入されていたが,5年前より検診を受けていなかった.平成16年9月11日より38℃の高熱を認め,常に便失禁の状態となった.9月16日高熱の持続および下腹部痛出現したため当院救急外来受診.内診所見として,著明な膀胱脱認めており用手的に還納すると腟内より糞便臭のある膿性分泌物を認めた.さらにペッサリーは全体の約1/3が後腟円蓋から後腟壁前方にかけて嵌入していた.直腸診ではペッサリーが触知され,肛門鏡にて直腸内へのペッサリー穿孔が確認された.腹部CTにて膣後壁より直腸内に位置するペッサリーが認められた.以上よりペッサリーによる直腸膣穿孔と診断しペッサリー除去術を施行した.ペッサリーは二箇所にて直腸への穿孔をしていたが可動性は良好であった.直腸下端での穿孔であったため人工肛門造設せず,一期的に腟壁縫合施行した.術後ヨードホルムガーゼ挿入し経過観察,瘻孔形成することなく退院となる.膀胱脱著明のため二期的に11月12日中央腟閉鎖術施行し,その後の経過は順調である.以上より長期にわたるペッサリー挿入は癒着・穿孔の可能性があり定期的な診察が必要である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(2)
189-189, 2005
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