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第109回学術集会(平成17年6月12日(日))
【一般演題】
感染症 サルモネラ菌感染による卵巣膿瘍の一例
阿部 弥生, 村岡 友美子, 小堀 宏之, 川原 康緒, 大渡 理恵, 三和 紀子, 依田 綾子, 西岡 暢子, 阿部 礼子, 長澤 敢, 山本 勉
越谷市立病院産婦人科
【緒言】サルモネラ菌によっておこる疾患は,その原因によりチフス性サルモネラ菌と非チフス性サルモネラ菌に分けられる. S. typhi,S. paratyphi 以外の非チフス性サルモネラ菌は急性胃腸炎,菌血症,病巣感染の原因菌となり,多彩な症状を示すことが知られている.卵巣膿瘍破裂にて緊急手術時の膿瘍培養から非チフス性のサルモネラ菌Salmonella O7を確認した症例を経験したので報告する.【症例】28歳,0経妊.平成16年1月に近医にて卵巣嚢腫を指摘されていたが,外来定期検診にて経過観察とされていた.同年9月16日から23日まで東欧を旅行.9月24日から発熱・下痢が出現していたが,2〜3日で自然軽快していた.同年10月14日突然の下腹痛にて当院救急外来受診.CT・MRI上にて右卵巣血腫又は膿瘍,骨盤腹膜炎の所見が認められたこと,血液検査で白血球17500/μl,CRP13.16mg/dlと高値であったことより,付属器膿瘍破裂を疑い緊急手術を施行した.術中にダグラス窩から両横隔膜下まで緑黄色の膿瘍内容の流出が認められた.左卵巣は5cmの膿瘍を形成しており,両側卵管は正常であった.左卵巣摘出術,腹腔内洗浄,ドレーン留置を行った.術後,炎症反応は速やかに消失し,術後18日目に退院となった.膿瘍培養よりSalmonella O7が検出された.術後の病理検査の結果は,endometrial cystであり,既往歴も合わせて考えると,サルモネラが上行感染を起こし,卵巣嚢腫に感染し,膿瘍を形成したと考えられた.【結語】卵巣膿瘍の起因菌として大腸菌感染によるものが一般的であるが,サルモネラが起因菌であった卵巣膿瘍であった極めて稀な症例を経験した.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(2)
191-191, 2005
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