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第109回学術集会(平成17年6月12日(日))
【一般演題】
感染症 骨盤内感染症 手術治療が必要となった症例について
瀧澤 聡子, 川村 久恵, 中川 圭介, 上里 忠和, 大岡 史子, 五十嵐 敏雄, 梁 善光
帝京大学附属市原病院産婦人科
[目的と対象]PIDは多くの症例で抗菌剤投与による保存的治療で終息させることができるが,なかには外科的治療を必要とする例も存在する.今回当科で2000年1月より2005年1月の間に手術療法を必要としたPID症例13症例について検討したので報告する.[成績]1年齢は26歳から80歳.ほぼ全例で下腹部痛を認め,38℃以上の発熱を伴っており画像上骨盤内に腫瘍を認めた.2病原菌が同定された例は5例のみであり,E. coli2例,Actinomycosis2例,クラミジア・淋菌の混合感染が1例であった.残る8例は常在菌のみあるいは同定不可であった.なおActinomycosis例は2例ともIUD装着歴があった.3合併疾患として子宮内膜症4例,奇形腫2例,子宮筋腫2例が認められた.4誘引として子宮内膜細胞診採取,人工受精,IUDなど子宮内操作が8例と圧倒的に多くSTDは1例のみにとどまった.5入院当日または翌日に手術が行われた症例は合計7症例であったが平均白血球数約20000/mm3,CRPは22.5g/dlと当初より感染兆候が著明であった.3日目以降7日以内手術症例は5例あり,いずれも抗生剤投与によっても軽快傾向を認めず手術に踏み切ったものであり以後炎症所見は順調に軽快した.最長は38日目であり奇形腫変性例であり,炎症所見は改善するも画像上強く悪性が疑われた症例であった.6術後の経過としては創部離開3例(23%)に認められた.術後平均在院日数は16.7日であり最長は33日であった.[結論]手術を要したPID症例では不用意な子宮内操作が誘引となっていることが多く子宮内操作の際抗生剤投与が考慮されるべきと考えられた.通常の手術と違い術後の抗生剤の選択には注意を要すると思われた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(2)
191-191, 2005
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