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第109回学術集会(平成17年6月12日(日))
【一般演題】
感染症 子宮内膜細胞検査後に発症した骨盤内感染症の検討
酒見 智子, 佐藤 孝道, 栗下 昌弘, 板坂 俊典, 木村 俊夫, 斉藤 理恵, 塩田 恭子, 渡辺 浩二, 真島 洋子, 藤田 聡子, 鈴木 麻水, 秋谷 文
聖路加国際病院産婦人科
産婦人科の臨床において,子宮内膜細胞検査は日常的に行われている検査である.その稀な合併症として骨盤内感染症(Pelvic Inflamatory Disease:PID)が挙げられる.2003年1月から2005年2月の間に,子宮内膜細胞検査後にPIDを発症し,開腹手術を必要とした4例を経験した.若干の文献的考察を含め検討する.【症例1】40歳0回経妊0回経産.不正出血に対し内膜細胞検査施行.当日から発熱,腹痛出現.10日後に来院,発熱持続と骨盤内膿瘍を認め,PIDの診断にて入院.【症例2】49歳2回経妊2回経産.子宮内膜過形成のフォローにて検査施行.数日後から発熱,関節痛出現.11日後に来院,入院.【症例3】52歳2回経妊2回経産.不正出血にて検査施行.5日後から発熱,関節痛出現.12日後に受診,入院管理.【症例4】38歳0回経妊0回経産.不正出血に対し検査施行.数日後関節痛と発熱出現.9日後に来院,入院.【考察】解剖学的構造上,女性性器は微生物との接触が多く,性交,月経,リング等の挿入によって感染のリスクが高いとされる.PIDの75%以上は保存的な治療が可能だが,留膿腫が形成され,保存的治療困難な症例は外科的治療を必要とする.今回の症例検討時期に施行した子宮内膜細胞検査は延べ5395件,PIDを発症した割合0.96%,外科的治療を要した症例は0.09%であった.同時期にPIDで開腹手術を要とした症例のなかで占める割合は57%であった.検査手技の影響だけでなく,来院までの期間が長かったことも,手術療法を要した原因である.子宮内膜細胞検査後のPIDは,早期治療によって保存的に加療できる可能性があり,患者への説明が重要であると考えられる.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(2)
192-192, 2005
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