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第109回学術集会(平成17年6月12日(日))
【一般演題】
妊娠・分娩5 妊娠中に発症した統合失調症(緊張病)に対し,無痙攣電撃療法を施行した一例
尾本 暁子, 坂本 理恵, 加来 建志, 増田 健太郎, 長田 久夫
千葉大学附属病院周産期母性科産婦人科
電撃療法は,薬物療法に抵抗性の特にうつ病や統合失調症に対する治療として行われている.妊娠中の精神障害者に対して通常行われる治療は,向精神薬を用いた薬物療法であるが,催奇形性や毒性の危険もある.近年,妊娠中の全期間にわたり,危険性は低く効果は高い治療法として電撃療法(Electroconvulsive therapy;以下ECT)が用いられることもある.今回我々は,妊娠初期に発症した統合失調症患者に対してECTを施行し,有効かつ安全であったので,これを報告する.症例;30歳0経妊0経産,既往歴・家族歴に特記すべき事なし.もともと元気で明るく真面目な性格であった.結婚7年間不妊の為他院不妊外来へ通い,卵管通水後7ヵ月で自然妊娠をした.妊娠後,問題なく経過していたが,妊娠10週頃の妊娠悪阻発症の時期から妄想が強くなってきていた.次第に精神運動興奮,不穏が強くなり,妊娠18週時他院精神科入院,23週時当院精神科転科となった.転院後,薬物療法に反応せず症状の悪化をみたため,妊娠29週より塩酸リトドリンを点滴の上全身麻酔下にECTを週2回/計6回施行した.ECT中胎児心拍モニター上気管内挿管時に軽度の子宮収縮が認められた他はは大きな異常は認められなかった.精神症状は一時軽快したが,妊娠36週時子宮内感染のため帝王切開にて分娩となった.産後,症状が再び悪化したため,ECTを産褥3週より週2回/計6回を2クール施行し,軽快のため退院となった.産後6ヶ月現在,外来にて定期的に維持ECTを施行中である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(2)
199-199, 2005
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