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第109回学術集会(平成17年6月12日(日))
【一般演題】
妊娠・分娩9 子宮動脈塞栓術が有効であった胎盤遺残の2症例
大塚 由紀子, 市塚 清健, 齋藤 佳実, 西 健, 松岡 隆, 大槻 克文, 柴田 哲生, 下平 和久, 関沢 明彦, 岡井 崇
昭和大学産婦人科
産褥期大量出血を呈した胎盤遺残に対し,子宮動脈塞栓術(UAE)にて血流を減少させ子宮鏡下手術による保存的治療が可能となった2症例を経験したので報告する.症例1:31歳3経妊2経産.妊娠39週正常分娩.退院後産褥16日目に自宅での大量性器出血にて救急受診.子宮復古不全と考え子宮収縮剤点滴,圧迫を行うも翌日子宮内腔を充満する血液により子宮は臍高まで増大し筋層は菲薄化.外出血は約1600mlに達し,MAP輸血および抗DIC治療を開始.経腹超音波断層法にて子宮体部前壁内腔側に板状に突出する高輝度エコーを呈する部位を認めた.パワードプラーにて同部位に血流が認められ胎盤遺残が疑われた.産褥19日目血管造影施行.子宮体部血流の増加を認め,UAEを施行し血流減少.同日子宮内の血塊は自然排出され後出血は少量.翌日子宮鏡下手術施行.前壁に白色の遺残胎盤様組織を認め摘出した.症例2:40歳1経妊1経産.前回37週で分娩時および産褥1ヶ月に胎盤遺残による大量出血のため子宮内容除去術の施行歴あり.今回妊娠41週自然陣痛発来し骨盤位にて経膣分娩.胎盤は自然に娩出された.産褥3日目の経膣超音波にて子宮内腔に4cm大の腫瘤像を認め,血塊と考え子宮内容除去を試みるが出血増量し中止.産褥10日目に至るも自然排出なく,パワードプラーおよびdynamic CTにて子宮動脈から腫瘤への豊富な血流を認めた.産褥12日目UAEを施行し血流減少.翌日子宮鏡下手術を施行し腫瘤表面に絨毛組織が確認され,胎盤遺残と診断し摘出した.2症例とも術中術後の出血は少量であった.文献的考察を加え報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(2)
208-208, 2005
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