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第109回学術集会(平成17年6月12日(日))
【一般演題】
子宮体癌2 子宮体部漿液性腺癌3例の臨床病理学的検討
加塚 有紀, 荻島 大貴, 卜部 麻子, 金田 容秀, 太田 剛志, 高橋 晃, 宮井 健太郎, 田中 美香, 吉田 学, 木下 勝之
順天堂大学産婦人科
はじめに:子宮体部漿液性腺癌(Uterine papillary serous carcinoma:以下UPSC)は,子宮体癌の約5〜10%の稀な腫瘍で,初診時に筋層浸潤,リンパ節・卵巣転移や癌性腹膜炎を合併していることが多く,類内膜腺癌に比べ化学療法不応で予後不良の組織型である.当科で,異なる進行期と臨床経過をたどった3症例のUPSCを経験したので報告する.症例:年齢は72歳,61歳,56歳,主訴はいずれも閉経後不正出血で,術後FIGO進行期分類はstage1c,3c,4期症例である.1c期症例は子宮内膜細胞診class5,掻爬組織診:類内膜腺癌G3の術前診断でARH+PL+PAN施行.術後病理診断は低分化型UPSC:pT1cN0M0.術後CAP療法2コース施行し,現在無病生存(術後9年)である.3c期症例は内膜細胞診class5,生検組織診:低分化型腺癌,術前画像診断で骨盤内リンパ節転移と子宮漿膜への浸潤を認め,TAH+BSO+PL施行.術後病理診断は低分化型UPSC:pT3cN1M0.術後CAP療法4コース施行したがPD,術後5ヶ月で腟断端再発と傍大動脈リンパ節・骨転移,癌性胸水を認め原病死した.4期症例は内膜細胞診class3,生検組織診:高分化型漿液性腺癌で,術前画像診断でT3aN1Mxのため手術施行したが,癌性腹膜炎の状態で試験開腹術に終わった.腹腔内播種性病変の生検病理診断では低分化型UPSCで,術後TAJ療法4コース施行したがPD,術後5ヶ月に原病死した.結語:UPSCは,進行症例では予後不良で化学療法の奏効も得られなかった.一方,初期症例では術後長期の生存期間を認めた為,早期診断と手術療法を含む集学的治療が極めて重要と思われた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(2)
211-211, 2005
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