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第109回学術集会(平成17年6月12日(日))
【一般演題】
卵巣癌1 卵巣子宮内膜症性嚢胞を経過観察中に明細胞腺癌を認めた2例
田島 麻記子, 小坂 元宏, 若菜 公雄, 清水 康史, 久保田 俊郎, 麻生 武志
東京医科歯科大学生殖機能協関学
子宮内膜症性嚢胞と明細胞腺癌には関連性が示唆されている.子宮内膜症性嚢胞症例の約1%に卵巣癌が合併し,またその中でも明細胞腺癌と類内膜腺癌の割合が高いと報告されている.今回我々は,長期間卵巣の子宮内膜症性嚢胞を経過観察中に明細胞腺癌を認めた2症例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.症例(1)は41歳,0回経妊0回経産.23歳から子宮内膜症と診断され,他院にて経過を観察されていた.1994年より当科通院し,5cm大の右卵巣子宮内膜症性嚢胞に対し,Gn-RH analog療法を計3回施行,経過観察していた.2003年3月の超音波断層法検査にて5cm大の嚢胞性病変に充実性部分を認め,2003年5月,腹式単純子宮全摘,両側付属器摘出,大網摘出術施行.術後病理組織診断の結果明細胞腺癌,pT2cNXM0であった.症例(2)は56歳,2回経妊2回経産.35歳時から子宮内膜症性嚢胞を指摘され,ダナゾール療法施行.44歳時から超音波断層法検査上,3〜4cmの両側子宮内膜症性嚢胞を認め,2001年まで経過観察.閉経を機に不診であったが,2004年8月から下腹部圧迫感が出現.左子宮内膜症性嚢胞が8cm大に増大し,2004年10月,腹式単純子宮全摘,両側付属器摘出,大網切除,骨盤内・傍大動脈リンパ節郭清術施行.術後病理組織診断は明細胞腺癌pT1c(b)N0M0であった.経過が長期にわたる卵巣子宮内膜症性嚢胞の症例の場合,悪性化の可能性も考慮した観察が必要であると考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(2)
214-214, 2005
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