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第109回学術集会(平成17年6月12日(日))
【一般演題】
卵巣癌2 多発性腹腔内臓器転移きたした卵巣セルトリ細胞腫瘍の1例
荻島 大貴, 木村 美葵, 卜部 麻子, 金田 容秀, 加塚 有紀, 太田 剛志, 高橋 晃, 宮井 健太郎, 吉田 学, 古堅 善亮, 木下 勝之
順天堂大学産婦人科
卵巣原発のセルトリ細胞腫瘍は性索間質性腫瘍に含まれる良性の腫瘍であり,再発,転移例の報告は極めて少ない.左卵巣原発のセルトリ細胞腫瘍で多発性肝転移,膵・脾転移をきたした症例を経験したので報告する.症例は58歳女性.2経妊2経産.平成11年6月検診で当科受診し,右卵巣の約5cm大の充実性の腫大を認める.その後増大傾向を認めたため,平成12年1月12日開腹手術施行.開腹所見では約7cm大の左卵巣充実性腫瘍を認めるのみで皮膜破綻や腹腔内の播種はなかった.術中迅速病理診断で性索系の卵巣腫瘍と診断され,腹式単純子宮全摘,両側付属器切除,大網部分切除を行った.術後の病理組織診断で,本腫瘍は淡明な胞体を持つ細胞が管状構造の増生を示めし細胞分裂像がほとんどなく,インヒビンによる免疫組織化学染色で陽性を示すことから左卵巣に限局するセルトリ細胞腫瘍と診断した.平成12年5月12日,乳腺の精査で施行したCTで膵尾部に約4cm大,肝右葉に約4cm大の腫瘍を認め,原発性膵癌の肝転移と診断され経過観察を行なっていた.平成16年1月19日胃内視鏡下生検で胃潰瘍部よりセルトリ細胞腫瘍が検出され,膵及び肝の腫瘍は卵巣セルトリ細胞腫瘍からの転移であることが判明した.その後,BEP(BLM,VP16,CDDP)療法,TJ療法を行ったが,いずれも肝,膵,脾臓の転移巣の縮小は得られなかった.現在,再発発見より約4年経過しているが発育は緩徐で外来にて経過観察を行っている.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(2)
217-217, 2005
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