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第109回学術集会(平成17年6月12日(日))
【一般演題】
卵巣癌2 直腸癌に類似した肝の転移形態を呈した再発卵巣癌の一例
野村 秀高, 樋田 一英, 高田 由美子, 吉形 玲美, 清水 聖子, 服部 美奈子, 池田 俊一, 太田 博明
東京女子医科大学産婦人科
卵巣癌の肝臓への転移経路は,腹腔内播種の一部が肝臓の被膜下より浸潤し,肝実質転移へ進展するのが一般的で,消化器癌肝転移のような孤立散在性や多発性の肝実質転移の転移形態をとることは稀である.今回われわれは,卵巣癌が直腸間膜のリンパ節に再発し,同時に消化器癌の肝転移に類似した形態の肝転移を認めた症例を経験したので報告する.症例は47歳,0経妊0経産.不明熱を主訴に当科紹介受診.卵巣癌の診断で,単純子宮全摘,両側付属器切除,骨盤リンパ節郭清,および大網切除術を施行した.腹水細胞診陽性で術後進行期はIc期,病理組織は明細胞癌であった.術後化学療法(ドセタキセル+シスプラチン)を6コース施行した.その後外来管理を受けていたが,直腸診にて約5cm大の骨盤内腫瘤を触知した.CTでは骨盤内に5.7×4.5cmの腫瘤性病変と,肝実質への多発転移を認めた.骨盤腫瘍は直腸粘膜に浸潤しており,下血も見られたため,開腹術を行った.病変は直腸間膜に存在し,同部位のリンパ節への転移と考えられた.直腸癌に準じて直腸低位前方切除術を施行した.肝臓転移に対しては,術後にパクリタキセルとシスプラチンの併用による肝動注を行っており,腫瘍の縮小が認められている.本症例は,卵巣癌の肝臓転移としては非定型的な肝実質多発転移を呈していた.本症例の転移経路としては,リンパ行性に直腸間膜リンパ節に転移した病変が増殖・増大し,傍直腸部に直腸癌に類似した腫瘤を形成し,さらに同部より門脈を介して肝臓へ血行性転移を来したものと推測された.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(2)
217-217, 2005
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