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第109回学術集会(平成17年6月12日(日))
【一般演題】
子宮外妊娠1 妊娠初期に卵巣出血を合併した5例
岩澤 有希, 岡江 美希, 曾根 献文, 鶴賀 哲史, 松本 由佳, 岡村 麻子, 金井 孝夫, 所 恭子, 山田 学
日立総合病院産婦人科
卵巣出血は,主として黄体期に急激な下腹痛で発症する.妊娠初期に発症した場合,子宮外妊娠との鑑別が難しい.我々は妊娠反応が陽性となった卵巣出血を2003年6月から現在までに5例経験した.5例のうち4例に開腹止血術を行い,1例を保存的に経過観察した.開腹術を行った4例はいずれも下腹痛を主訴に受診.自己申告による最終月経からの期間は13,31,35,50日(不明1例)であった.来院時の尿中hCG定量値は681〜2989mU/ml(平均1797.3)であった.超音波断層法にて子宮内に胎嚢を認めず,直腸子宮窩から膀胱子宮窩に及ぶ出血を認めた.以上から子宮外妊娠の破裂を疑い開腹術を行った.4例とも子宮外妊娠の所見は認めず,卵巣からの出血を認めるのみであったため止血術を行った.腹腔内出血量は260〜2316;1160ml(平均650ml)であった.4例中3例は子宮内に胎嚢を認めないまま尿中hCGが陰性化した.残りの1例は妊娠が継続し生児を得た.保存的に経過観察を行った1例は1年前に妊娠中の卵巣出血に対し開腹術を行った症例であった.尿中hCGは1400mU/mlであったが,超音波断層法にて子宮内に胎嚢を認めず,モリソン窩に及ぶ出血を認めた.しかし最終月経からの週数が31日であること,vital signが安定していることから保存的に経過観察したところ,腹腔内出血は減少し尿中hCG値も陰性化した.子宮外妊娠の鑑別診断として,妊娠反応陽性で子宮内に胎嚢が見えない時期の卵巣出血の可能性も考慮する必要があり,術前の十分な説明が重要であると思われた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(2)
220-220, 2005
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