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第109回学術集会(平成17年6月12日(日))
【一般演題】
新しい医療形態 分娩費は適切か?〜分娩における必要経費算出のこころみ〜
佐藤 雄一, 佐藤 仁
産科婦人科舘出張佐藤病院
【緒言】現在の分娩費は,出産育児一時金としての約30万円を目安に地域性・周囲環境・個々の施設設備等を考慮し設定している状況にあるが,今回どれくらいの分娩費が適切か1分娩・入院期間中の原価を算出してみた.【方法】平成16年7月から9月まで,当院で正常分娩となった205例(初産109例,経産96例)を対象とし,入院から分娩後までの平均所要時間を算出,さらに分娩室,新生児室,病棟,その他の4部門で,入院中に各職種(医師,助産師,看護師,医事職員など8職種)が直接関与した平均労務時間から,直接労務費を算出した.職種ごとの人件費は,A病院,B総合病院産婦人科と当院の3施設の平均単価を用いた.諸費用として,直接経費(検査,薬剤,消耗品,食材費など)と,間接経費(経営上の必要経費)を算出し,それらの合計を分娩にかかる費用とした.また,各部門でより安全で快適な分娩を行うために必要な直接労務時間を再検討し,今後の参考のために理想必要経費を算出した.【結果】入院から分娩後(病室移床)までの平均時間は14時間1分,直接労務費192,612円,直接経費54,800円,間接経費113,938円であり,合計361,350円であった.また,理想的には直接労務費が299,516円となり,合計468,254円となった.これに諸経費を考え10%を上乗せした約40万円程度が,現在の分娩費として妥当と考えられた.また理想的には,約51万円程度の費用と考えられた.【まとめ】産科臨床医師・助産師の増員が困難な状況の中,安全性を高めていくためにはせめて出産費の増額は,患者のためにも産科医療のためにも必要であろうと思われた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(2)
230-230, 2005
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