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第109回学術集会(平成17年6月12日(日))
【一般演題】
胎児異常1 妊娠後期の単一臍帯動脈様所見はnonreassuring fetal statusや子宮内胎児死亡のリスクになるか?
山中 明香, 渡邉 秀樹, 八木 洋也, 藤木 豊, 濱田 洋実, 吉川 裕之
筑波大学産婦人科
単一臍帯動脈は,全妊娠の約1%に合併し,日常診療上よく遭遇する疾患である.単一臍帯動脈の胎児は他の胎児奇形と子宮内胎児死亡のリスクが上昇するため,出生前の超音波検査において確認すべき所見の1つとして知られている.今回我々は,妊娠後期に単一臍帯動脈と診断された後,nonreassuring fetal statusや子宮内胎児死亡となり,分娩後の病理検査にて2本の臍帯動脈のうち1本の臍帯動脈の血流障害が疑われた症例を2例経験したので報告する.(症例1)30歳未経産婦.妊娠初期より前医にて管理されていた.妊娠38週1日母体尿管結石疑いにて当科に紹介され入院となった.超音波検査上単一臍帯動脈と羊水過多を認めた.翌日のバイオフィジカルスコアが2点であったため,同日分娩誘発を行い,2830gの男児を娩出した.Apgarスコアは1分後3点,5分後6点であった.出生前の診断と異なり,2本の臍帯動脈を認めたが,1本に血液を認めず虚脱している状態であった.(症例2)25歳未経産婦.妊娠初期より前医にて管理されていた.妊娠34週時に単一臍帯動脈と診断された.妊娠37週0日超音波検査にて子宮内胎児死亡を確認したため,妊娠37週1日当科に紹介受診となった.分娩後の児の解剖検査により,臍帯の血管は2動脈1静脈で,1本の動脈が狭小化し他方の動脈が怒脹しているのが明らかとなった.妊娠後期に単一臍帯動脈が疑われた場合,1本の臍帯動脈の血流障害の可能性があり,妊娠中期で臍帯の血管数を確認した後でも臍帯の血管に注意することは,周産期管理の上で重要であると考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(2)
232-232, 2005
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