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第109回学術集会(平成17年6月12日(日))
【一般演題】
胎児異常1 cloverleaf skullの胎内鑑別診断について
斉藤 知見, 伊藤 茂, 薪田 も恵, 山田 美恵, 木下 勝之
順天堂大学産婦人科
cloverleaf skullとは冠状・人字縫合の早期癒合と,それによる頭蓋内圧上昇のため,大泉門部と両側頭部が膨隆し,前面から見た頭蓋がクローバー形を呈する先天奇形である.主に致死性四肢短縮症やCrouzon病,Apert症候群,Pfeiffer症候群等の部分症状としてみられる.今回我々は胎内でcloverleaf skullを呈しCrouzon病を疑っている一例を経験したので,その鑑別方法と文献的考察を加えて報告する.【症例】34歳,2経妊2経産.他院で妊婦検診を受けていたが30週まで異常を指摘されていなかった.32週時,cloverleaf skullと眼球の突出を認め,頭蓋骨早期癒合症の疑いで当院紹介初診となった.超音波およびMRIにてcloverleaf skullと眼球突出を認めたが水頭症は認めなかった.また心臓奇形や合指症,多指症,四肢短縮等の外表奇形は認めず,Crouzon病が最も疑われた.胎内でのFGFR(Fibroblast growth factor receptor)遺伝子の解析は患者の希望により行わなかった.頭部最大径97.1cmであったため,37週でCPDの診断にて帝王切開術を施行した.児は3286g,女児,Apgar score 1分値8点/5分値9点であった.冠状・人字縫合の癒合によるcloverleaf skullおよび眼球突出,耳介低位を認め,四趾及び頭蓋内部構造の異常は認めなかった.呼吸障害や頭蓋内圧亢進症状の出現はなく,哺乳も良好で,現在Crouzon病を最も疑い精査中である.また体重増加を待って手術予定としている.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(2)
233-233, 2005
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