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第109回学術集会(平成17年6月12日(日))
【一般演題】
胎児異常2 胎内で自然治癒した胎児水子宮膣症の一症例
伊東 敬之1), 河野 照子1), 深田 幸仁1), 長田 孝明2), 星 和彦3)
(旧)国立甲府病院産婦人科1), 長田産婦人科クリニック産婦人科2), 山梨大学産婦人科3)
水子宮膣症は胎児期に膣あるいは膣口閉鎖が起こり,分泌物が子宮と膣に貯留し拡張する疾患である.女児出生の16000人に1例の割合で発生し,ミュラー管の分化過程や尿生殖洞とミュラー管の癒合過程の障害に伴い,膣あるいは処女膜の閉鎖が起こり発生する.今回我々は妊娠中期に胎児水子宮膣症と診断し,その後の経過観察中に子宮内で自然治癒した症例を経験したので報告する.<症例>母親は2経妊1経産28歳,既往歴,家族歴に特記すべきことなし.24週0日近医より胎児骨盤内嚢胞の疑いにて精査目的にて紹介受診となる.超音波断層検査にて,胎児右腎臓の多嚢胞所見,ならびに膣内の液体貯留像を認め,胎児右多嚢胞腎と水膣症と出生前診断した.さらに26週0日の超音波断層検査では,胎児子宮内から膣内にかけての液体貯留像が認められ,水子宮膣症と診断された.27週6日の検査では水子宮膣症の所見は消失していたが,右腎臓の多嚢胞はその後も認められた.38週1日,経腟分娩にて分娩となった.児の体重は2560g,児の処女膜は肉眼では閉鎖しているように思われたが,ゾンデ診にて処女膜の正中より左側に穿孔していることが確認された.本症例では,子宮内で水子宮膣症を発症したが,胎児処女膜が自然に穿孔し,水子宮膣症が自然治癒したと考えられた.また,右多嚢胞腎については外来経過観察中である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(2)
234-234, 2005
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