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第109回学術集会(平成17年6月12日(日))
【一般演題】
妊娠・分娩10 前置癒着胎盤に対するmodified cesarean hystrectomyの経験
高橋 肇, 横田 明重, 三田 俊二, 國重 浩二, 中井 晶子, 川端 伊久乃, 三宅 秀彦, 中井 章人, 竹下 俊行
日本医科大学産婦人科
前置癒着胎盤は妊娠分娩管理において苦慮することの多く,特に帝王切開時には多量出血や尿路損傷など重篤な合併症をもたらす.これに対して,Marcoらはmodified cesarean hysterectomy(MCH)を提唱している.これは,術前に尿管ステントを挿入し古典的帝王切開を行い,胎盤を子宮壁から剥離せず子宮摘出操作に移り,そして胎盤と癒着した膀胱の剥離を子宮摘出操作の最後に行う事を特徴とする術式である.今回,早期より周術期への対応を考慮し,分娩時MCHを行った前置癒着胎盤の症例を経験したので報告する.症例は37歳,これまでに2回の帝王切開の既往がある.前医で切迫流産と診断されていたが,妊娠16週に胎盤位置の異常を疑われ当科紹介となった.超音波断層法で,胎盤は内子宮口を覆いさらに既往帝王切開創に進入しており,カラードプラ法でも胎盤内から筋層に向かうturbulent lucunar flowを認めたため,前置癒着胎盤と診断し入院管理とした.膀胱粘膜面への胎盤の浸潤は認めなかったが,MRIでは穿通胎盤の膀胱壁への浸潤を強く疑った.このため,挙児希望も無く子宮の温存も困難と考えたため,インフォームド・コンセントを得た上で分娩様式としてMCHを選択した.妊娠18週よりスイッチバック方式を併用した自己血貯血を開始.その後性器出血が増量したため尿管ステントを挿入し,妊娠30週1日MCHを施行した.術中総出血量は8800g,自己血に加え,同種間輸血も施行した.児は1546gの男児,Apgarスコア1分後8点/5分後9点であり他院NICUへ搬送となった.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(2)
237-237, 2005
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