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第109回学術集会(平成17年6月12日(日))
【一般演題】
妊娠・分娩10 当科における癒着胎盤症例と二期的手術について
岩田 睦, 村山 敬彦, 高井 泰, 斉藤 正博, 林 直樹, 関 博之, 馬場 一憲, 竹田 省
埼玉医科大学総合医療センター産婦人科総合周産期母子医療センター母体胎児部門
[緒言]癒着胎盤は分娩時大量出血をきたし母体死亡の原因となり得る重要な疾患である.近年では,帝王切開率の上昇のため,帝王切開創部付着による嵌入胎盤,穿通胎盤症例が増加し,その診断,管理,治療が問題となる.今回,当センターでの経験から,癒着胎盤症例に対する管理・治療指針につき検討したので報告する.[対象]2000年1月から2004年12月までの5年間に当センターにて経験した癒着胎盤44症例を対象とした.[結果]癒着胎盤症例は38例,嵌入胎盤症例は4例,穿通胎盤症例は2例であった.嵌入および穿通胎盤症例では全例に,癒着胎盤症例では剥離後強出血を認めた8例の計14例に子宮摘出術が施行された.分娩時平均出血量は子宮温存症例で950ml,子宮摘出症例で4,714mlであった.二期的子宮摘出症例は2症例あり,1例は化学療法および子宮動脈塞栓術を併用した穿通胎盤症例,もう1例は帝王切開時に内腸骨動脈結紮術を行った嵌入胎盤症例であった.共に産褥期に出血を認め緊急子宮全摘術を要したが,前者は膀胱浸潤,高度骨盤内癒着のため術中出血量は17,000mlに達し,後者は子宮血流量減少により術中出血量を1,100mlに抑えることが可能であった.摘出子宮はともに胎盤が筋層深く浸潤しており,剥離は不可能であった.[考察]近年,癒着胎盤症例に対する保存的治療により子宮を温存し得たとの報告も散見されるが,一般に嵌入胎盤や穿通胎盤症例では子宮摘出術が選択されることが多い.その際,術中出血減少が課題であり2期的子宮摘出術はその一法となりうるが限界もある.子宮摘出症例を中心に当センターで経験した症例を提示し,癒着胎盤症例の診断・管理方針等につき考察する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(2)
238-238, 2005
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