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第109回学術集会(平成17年6月12日(日))
【一般演題】
深部静脈血栓症 腹腔鏡下卵管線状切開後に羊水塞栓によると思われるDICを発症した1例
小泉 邦博, 島貫 洋人, 熊切 順, 菊地 盤, 北出 真理, 武内 裕之, 木下 勝之
順天堂大学産婦人科
【緒言】羊水塞栓は,羊水および羊水中の胎児成分が母体血中へ流入し,プロテアーゼやケミカルメディエーターによるアナフィラキシーショックおよびそれに続発するDICによって誘起された病態であり,third trimesterに子宮収縮に伴って発生する疾患であると考えられている.【症例】36歳未経産婦人,妊娠8週で血中hCG 4840 mIU/mL,経腟超音波検査で左附属器領域に径2cmのwhite ringに覆われたGSと内部に胎児心拍を認めた.左卵管膨大部妊娠と診断し,腹腔鏡下に卵管間膜にバゾプレッシンを局注して卵管線状切開後ケーリー鉗子による卵管ミルキングを行って外妊腫瘤を摘出した.術後約3時間後にドレーンから約300mLの腹腔内出血,血尿および胃出血を認めた.再度,腹腔鏡を施行して腹腔内の確認を行ったところ,線状切開部およびトロカール刺入部に出血および出血斑が観察された.血液検査所見ではAPTT,PTの著しい延長とFDPの増加によりDICと診断した.術後,nafamostat mesilate 200mg/day,ulinastatin 20万単位,AT-III製剤3000単位による抗凝固療法を開始し,計PC 15単位,FFP 15単位を輸血して,術後3日目には血液検査はほぼ正常に回復した.【結論】本症例はfirst trimesterの子宮外妊娠線状切開術後に羊水塞栓症を発生したきわめて稀な1例と考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(2)
247-247, 2005
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