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第110回学術集会(平成17年10月15日(土),16(日))
【シンポジウム2】
1.卵巣癌の初回化学療法―タキサン+白金製剤併用療法の延長を探る
礒西 成治
東京慈恵会医科大学産婦人科 助教授
周知の如く欧米のEuropean Canadian Intergroup Trial(OV10),Gynecologic Oncology Group(GOG111)により,タキサン+白金製剤併用療法(TP)は一世代前のシスプラチン,サイクロフォスファミド併用療法(CP)に勝ることが報告され,本法は全世界の施設で一般的に使用されるようになった.これに対し常に引用されるInternational Collaborative Ovarian Neoplasm(ICON3),GOG132でもTP/CP間に有意差は認めず,TP第一選択を否定するものではなかった.今回はTPを基盤とする卵巣癌初回化学療法について現在また今後ポイントとなろう以下の4点に焦点を合わせ検討を加えてみた. 1.上記4データーの長期予後に影響する再発時の2nd line薬剤のcrossoverについて;両者間のもっとも核心にせまる論点である.後2者ではCP群で再発疑い時早期にCPからTPに切り替え使用するcrossover例が多く結果的に両群ともにタキサン製剤が使用されたことになる.今後初回化学療法薬剤選択に際し2nd line薬剤を視野に入れて考慮すべき点が示唆され,使用薬剤のsequenceが長期予後に与える影響を我々のデーターをも加え紹介する. 2.初回手術困難例に対するSecondary Cytoreductive Surgery(SS)の効果;Ov10ではSSを積極的に取り入れており手術法の効果が加味される.SSに焦点をおいたGOG152のSSと初回化学治療の相加効果をねらったプロトコールを紹介したい. 3.TPにおける腹腔内(IP)投与の効果;標準TP療法を凌駕する試みであり代表的プロトコールであるGOG172ではIP投与群に有意延命効果が期待されている. 4.TPにおける新薬使用の試み;やはり標準TP療法を超える効果を探索するものであるがGOG諸プロトコールでも再発例を対象としての効果検討にとどまっているのが現状である. 以上の各点を中心にTP療法の今後の展望につき解説を加えてみたい.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(3)
293-293, 2005
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