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第110回学術集会(平成17年10月15日(土),16(日))

【シンポジウム2】
2.卵巣がんに対するinterval debulking surgery (IDS),secondary debulking surgery(SDS)およびsecond‐look operation(SLO)


喜多 恒和
防衛医科大学校産婦人科 講師


 卵巣がんに対する初回手術と化学療法後のinterval debulking surgery(IDS),secondary debulking surgery(SDS)およびsecond‐look operation(SLO)の意義についてはcontroversialである.2004年に日本婦人科腫瘍学会から卵巣がん治療ガイドラインが発行され,婦人科腫瘍医のなかではコンセンサスが得られているものの,一般臨床医のなかでは混同して理解され一定の方針の下に日常臨床が行われているとは言い難い面がある.そこで本ガイドラインの主旨を解説するとともに残された問題点を提示し,これを解決したい.
 IDSに関しては,CP療法3コース後のIDSが予後の改善に有効であったとする欧州EORTCと,TP療法後のIDSは予後を改善しなかったとする米国GOGで見解が異なる.これは初回手術を行った一般婦人科医のスキルの差による残存腫瘍径の差が影響していると考えられている.つまり一般婦人科医が行った初回手術後には婦人科腫瘍医による再手術により残存腫瘍の縮小化を考慮すべきであり,婦人科腫瘍医が初回手術で残存腫瘍径を最小にしたならば,IDSを行う意義はないと理解すべきである.
 SDSに関しては,4〜6コースの初回化学療法後残存腫瘍に対して行うものであるが,これにより完全切除が行えれば予後改善が可能である.しかし初回手術の残存腫瘍径の大きさにかかわらず初回化学療法後に臨床的CRが得られたならばSDSの対象とはならず,無論SLOは適応とされていないのが現状である.しかしSLOによって,初回手術で不完全切除であった場合は69%の症例で,初回手術で完全切除であった場合でも46%の症例で残存腫瘍が発見され,前者の場合はSLO-SDSにより予後の改善が認められたとする報告がある.すなわち臨床的CRのすべてにSLOの意義はないとするのは誤解であり,このような症例にSLOを行わずにパクリタキセルの維持化学療法を行えば,PFSが延長することは当然と考えられる.
 Second line chemotherapyの開発に向けて,病理組織型や薬剤耐性遺伝子発現を考慮した種々のレジメンの臨床試験が進行する中,将来卵巣がんに対するSDSの意義はさらに高まり,SLOの意義も再検討されるであろうと考えられる.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(3) 294-294, 2005


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