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第110回学術集会(平成17年10月15日(土),16(日))
【シンポジウム2】
4.再発卵巣癌の手術療法
恩田 貴志
国立がんセンター中央病院婦人科 医員
卵巣癌に対する初回治療時の腫瘍縮小手術は,多くの報告によりその有用性が確認されており,現在の標準治療と考えられている.近年,再発時の治療法としても,腫瘍縮小手術(secondary cytoreductive surgery, SCS)の有用性が検討され,良好な成績が報告されている.今回,自験例(東京大学医学部附属病院)のSCSについて検討を行った. [目的]再発卵巣癌に対するSCSの適応となる対象を明らかにすること. [方法]1987年1月から2000年9月までの間に,無病期間>6か月,PS<3,画像診断にて多発性病変を認めない,年齢<75歳,術前に化学療法を行った場合には化学療法に対してPDではない,の条件を満たす再発卵巣癌症例44例に対して腫瘍縮小手術を行った.この44例に対するSCSの結果および再発治療後の予後について解析を行った. [結果]44例のうち,26例(59.1%)において肉眼的完全切除が可能であり,単変量解析の結果,腫瘍縮小手術の結果と全生存期間との間に有意な相関が認められた.術前の予後因子の中では,多変量解析の結果,無病期間>12M,肝転移を認めないこと,単発性であること,最大腫瘍径<6 cmがそれぞれ独立して良好な予後と関連していた.これら4因子のうち,3因子以上を有する症例(n=31)は,2因子以下の症例(n=13)に比して,有意に予後良好であった(全生存期間中央値で47M vs. 20M, p<0.0001).3因子以上を有する症例では,完全切除の場合64M,完全切除が達成できない場合も40Mの全生存期間が得られており,予後良好であった.2因子以下の症例においてはSCSの結果によらず5年生存は得られず,予後不良であった. [結論]無病期間>12M,肝転移を認めないこと,単発性であること,最大腫瘍径<6 cmの3因子以上を有する症例においては,腫瘍縮小手術により良好な予後が期待でき,腫瘍縮小手術を検討すべき良い対象と考えられた.また,2因子以下の症例においてはSCSの適応は慎重に検討すべきと考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(3)
296-296, 2005
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