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第110回学術集会(平成17年10月15日(土),16(日))
【ランチョンセミナー2】
腹腔内播種性転移の画像診断
田中 優美子
筑波大学放射線科 講師
近年,その発症頻度が増加傾向にある子宮内膜癌,卵巣癌において腹腔内播種は主たる転移経路の一つである.特に卵巣悪性上皮性腫瘍は発見時には腹腔内播種を来していることが少なくない.子宮内膜癌も腹水細胞診陽性によりIIIa期に分類される症例は多々経験され,更に播種が肉眼的な大きさを持つに至りIVb期に分類される進行例を見ることも稀ではなくなった. 本講演では腹腔内播種性転移の各種画像診断法の診断精度に加え主力診断モダリティであるCTを中心とした画像所見とその解剖学的背景,鑑別診断について述べる.本症の診断には殊に腹腔の画像解剖,腹水の動態に精通することが重要であるが,これについてはMorton A. Meyersの名著“Dynamic Radiology of the Abdomen”に詳述されている.本書で紹介された播種性転移の好発部位であるDouglas窩,Morison窩,傍結腸溝,網嚢,横隔膜下腔等について実際のCT画像とシェーマを用いて,平素は画像にあまり馴染みのない先生方にもわかりやすく解説する予定である.またCTは近年の多列化に伴い'isotropic data sampling'が一般的となり,従来の横断像による評価のみならず,これを駆使したMulti‐planer Reconstruction(MPR)や3D画像が容易に作成できるようになっており,これらを駆使した立体的な説明を心がけるつもりである.更に腹腔内播種性転移の原発巣は婦人科腫瘍ばかりではなく,消化管が原発臓器であることが少なくないことから,cross sectional imaging(CT,MRI)による消化管の評価についても症例を呈示しながら解説する.更に腹腔内播種性転移と鑑別すべき疾患として,結核性腹膜炎は,救命しうる病態であることまた院内感染防止の観点からも重要であり,本症の癌性腹膜炎との画像による鑑別点についても触れたい.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(3)
302-302, 2005
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