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第110回学術集会(平成17年10月15日(土),16(日))
【一般演題】
胎児異常(1) 妊娠18週の超音波検査にて胎児水腎症と胎児腹水を認めた一例
杉林 里佳, 古澤 嘉明, 鈴木 真, 山本 由紀, 高野 忍, 古賀 祐子, 藤原 礼, 亀田 省吾, 己斐 秀樹, 大塚 伊佐夫, 清水 幸子
亀田メディカルセンター産婦人科
妊娠中期の胎児超音波検査で胎児腎盂拡大は比較的よく認められる異常所見の一つであるが,一定した管理指針はない.今回妊娠18週の胎児超音波検査にて両側腎盂拡大を認め以後増悪した症例を経験したので報告する.症例は36歳,0回経妊0回経産.妊娠18週時の胎児超音波検査にて両側腎盂拡大(右3.1 mm,左2.8 mm)と少量の腹水貯留を認めた.20週時にも同様の所見を認め胎児奇形や染色体異常の可能性について説明したが,羊水検査は希望されなかった.他の異常所見は認めなかったが,児推定体重は-1.5SDで推移した.妊娠経過とともに腎盂拡大は徐々に進行し腎盂前後径が34週時10 mm,38週時には20 mmを超えたが,膀胱描出,羊水量に異常はなかった.児の腎機能への影響を考慮し,妊娠39週に分娩誘発し,2218 g,女児,アプガール・スコア:7点/9点,臍帯動脈血pH7.211にて出生した.出生後の超音波検査では腎盂前後径は右19 mm,左19 mmであったが,出生4時間後より排尿を認め,その後徐々に水腎症は改善傾向を認めた.血液生化学検査でも異常所見は認めなかった.外表では小顎症,趾位置異常があり,また口蓋裂,心奇形を認めた.日齢5に施行したABRでは両耳共に70dBでも反応を認めなかった.奇形症候群としてRobin Sequenceが疑われた.両親の同意の上に施行した染色体検査では6番短腕部分欠損,6番長腕部分トリソミーを認めた.胎児の腎盂拡大は妊娠中期の超音波検査所見として比較的よく認められるが,今回のように染色体異常や他の合併奇形の表現型として認められる場合もあり,他の合併奇形の検索や腎盂拡大の経時的変化を観察することが重要であると考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(3)
311-311, 2005
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