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第110回学術集会(平成17年10月15日(土),16(日))
【一般演題】
胎児異常(2) 全前脳胞症の3例
手塚 彩子, 和地 祐一, 望月 朋子, 渡邊 由紀子, 勝又 木綿子, 酒井 啓冶, 安藤 索, 岩下 光利
杏林大学医学部産婦人科
全前脳胞症は,前脳の分化障害による大脳半球形成障害で,顔面奇形や染色体異常を高率に合併する.発生時期は妊娠6週から7週にかけてで,脳奇形の形態により無頭葉型,半頭葉型,頭葉型に分類される.顔面奇形,その他の内臓奇形の程度は様々で,臨床症状として精神運動発達遅滞を認めるが,その重症度も症例により様々である.今回我々は,全前脳胞症を3例経験したので報告する.症例1は妊娠29週時,子宮内胎児発育遅延精査目的にて前医より紹介受診.脳室拡大を認め胎児MRIを施行.全前脳胞症無頭葉型と診断された.妊娠42週時,分娩誘発にて経腟分娩となる.出生体重1593 g口蓋裂,尿道下裂,鎖肛を認めた.児は現在外来経過観察中.症例2は,妊娠21週時,子宮内胎児発育遅延,脳室拡大を認め精査目的にて前医より紹介受診となる.超音波検査上,全前脳胞症と診断され人工妊娠中絶施行.児は両上肢短縮,耳介低位,単心房など多発奇形認め,染色体検査にて18トリソミーと診断された.症例3は妊娠21週時,子宮内胎児発育遅延,羊水過少症精査目的にて前医より紹介受診.超音波検査にて全前脳胞症と診断された.妊娠24週時,子宮内胎児死亡となり分娩誘発し児娩出となる.児は単眼症,象鼻,多指症など外表奇形と腸回転異常などの内臓奇形を合併した.これらの症例に文献的考察を加え報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(3)
313-313, 2005
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