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第110回学術集会(平成17年10月15日(土),16(日))
【一般演題】
胎児異常(3) 胎児水腫〜予後から見た治療法・娩出時期の検討〜
木村 聡1), 高荷 理子1), 河村 隆一1), 西口 富三1), 杉村 基1), 金山 尚裕2)
浜松医科大学周産母子センター1), 浜松医科大学産婦人科2)
胎児水腫は胎児に発症した全身性浮腫および腔水症をきたしたものでその原因は多岐にわたり,同種免疫による胎児赤芽球症によるものと非免疫性胎児水腫に分類される.かつてはRh不適合による免疫性のものがほとんどであったが,最近は非免疫性のものが多い.非免疫性のうち,原因不明の特発性のものが約22%といわれている.今回我々は特発性と考えられる胎児水腫を6例経験したので症例をまとめ,その治療法・娩出時期について検討した.各症例につき倫理上の配慮をし,患者には了承を得ている.症例は診断時期が18週〜31週,診断から児娩出までは1日〜11週間,娩出方法は帝切3例,経膣3例.予後は6例中1例がIUFD,1例は出生1時間半後に死亡.4例は生存.IUFD例は発症時に心不全が進行していた.出生後死亡例は発症が18週と最も早く,胎児治療(胎児腹腔内にアルブミン・ウリナスタチン投与)を施したが26週に出生,肺低形成のため死亡した.出生例4例のうち1例は胎児治療後腔水症が著明に改善した.他の3例は入院後1〜5日で帝王切開にて娩出.心機能の悪化する前に胎外治療に移行できた例であった.今回の症例は,いずれも原因は究明できなかったが,発症時期や腔水症の程度により児の予後に大きな差が見られた.胸水貯留の多い症例や発症の早い症例は出生時の肺低形成により予後不良であることが示唆された.胎児治療が児の予後にどのような影響を与えているのかは今回の症例のみでは判断できなかった.特発性胎児水腫では心機能や肺の低形成の有無を的確に評価し,悪化が見られた場合,早期に娩出し胎外治療に移行することが児の予後改善につながる可能性がある.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(3)
315-315, 2005
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