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第110回学術集会(平成17年10月15日(土),16(日))

【一般演題】
子宮外妊娠
着床部位の同定が困難であった卵巣妊娠の1例


福田 貴則1), 高田 全1), 杉本 公平1), 窪田 尚弘1), 田中 忠夫2)
富士市立中央病院産婦人科1), 東京慈恵会医科大学産婦人科2)


 【緒言】卵巣妊娠の多くは妊娠初期に診断加療されるが,希に妊娠後半期まで妊娠を継続し,中には生児を得たという報告もある.今回,開腹前には着床部位が診断できず,術中所見にて卵巣妊娠であることが判明した症例を経験したので報告する.【症例】32歳,2経妊2経産,第2子の出産は平成16年6月.【既往歴,家族歴】特記なし【現病歴】最終月経は本人の申告で平成16年12月23日であった.平成17年1月10日,腹痛を訴えて近医内科受診となる.腹痛の原因は特定できず,経過観察とされていたが,前回出産をした近医産婦人科を2月23日受診した.その時に子宮体部とは別にそれに接して,妊娠16週相当の胎児を認め,子宮外妊娠の疑いにて,当科紹介となった.経膣超音波にて鶏卵大の子宮体部を認め,その腹壁側に妊娠16週相当の胎児を内包した羊水腔を認めた.経腹超音波上ではあたかも正常妊娠のようであった.MRIなどを施行するものの着床部位の同定はできず,腹膜妊娠疑いにて2月25日に開腹手術を施行した.【手術時所見】左卵巣が直径12 cmに腫大していており,卵巣妊娠の診断にて左附属器切除術を施行した.摘出した左卵巣内に78 gの胎児を認めた.外表奇形などは認めなかったが臍帯は単一臍帯動脈であった.術後経過は順調であり,術後7日目に退院となった.【考察】卵巣妊娠は一部が妊娠前半期に診断を見落とされ,妊娠後半期まで妊娠継続されるとの報告もある.今回の症例では前医にて適切に内診,経膣超音波が施行され,子宮外妊娠の診断をされていた.もし,経腹超音波のみでの診察しか施行されてなければ,卵巣妊娠を見落としていた可能性もあり,婦人科診療の基本としての内診の重要性が再認識された.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(3) 318-318, 2005


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