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第110回学術集会(平成17年10月15日(土),16(日))

【一般演題】
卵巣癌(5)
悪性黒色腫への悪性転化を伴う卵巣成熟嚢胞性奇形腫の一例


安田 豊1), 深谷 暁1), 蛭田 啓之2), 亀田 典章2), 木下 俊彦1), 伊藤 元博1)
東邦大学医学部付属佐倉病院産科婦人科学教室産婦人科1), 東邦大学医学部付属佐倉病院病理病理2)


 卵巣成熟嚢胞性奇形腫の悪性転化は1〜2%といわれ,その大部分は扁平上皮癌で,その他の組織型は極めて少ない.今回我々は悪性黒色腫・扁平上皮癌・腺癌への悪性転化を伴った成熟嚢胞性奇形腫の1例を経験したので報告する.【症例】64歳,2G2P.約9ヶ月前からの腹満感・腹部腫瘤感のため近医受診,巨大卵巣腫瘍疑いにて当院紹介受診.CT,MRIにて長径約25 cmの充実性部分・脂肪成分・浮遊物を含む嚢胞性病変が認められ,腹膜播種と考えられる病変を多数認めた.またCA19-9;4370 U/ml,CA125;200 u/ml,SCC;39.1 ng/ml,と腫瘍マーカーの上昇が認められたことから成熟嚢胞性奇形腫の悪性転化を疑い,手術施行.腹部全体を占拠する成人頭大の左卵巣腫瘍と多数の腹膜播種病変を認めた.迅速病理検査にて悪性と診断され,子宮全摘術,両側付属器切除術,腹膜腫瘍摘出術,小腸部分切除術を行った.病理学的に左卵巣は充実性領域を伴った嚢胞性病変を形成しており,成熟奇形腫の所見のほか,高分化扁平上皮癌および高分化腺癌の像が認められた.また,充実性領域は核小体の目立つ未分化な細胞の髄様増殖よりなり,播種性病病変も同様の組織像を呈していた.これらは免疫染色で,Vimentin陽性,抗メラノーマ抗体のうちHMB45は陰性であったが,NK1/C3が広範囲に陽性.また,S100蛋白が散在性,少数の細胞に陽性で,色素産生は明らかでないものの,組織像,免疫染色から充実性領域および播種病変はmalignant melanomaと診断された.術後2週間目には残存腫瘍が腹腔から骨盤内に増殖し,術後5週間で死亡した.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(3) 377-377, 2005


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