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第110回学術集会(平成17年10月15日(土),16(日))
【一般演題】
卵巣癌(5) 血中hCG高値を示し子宮外妊娠が疑われた卵巣原発性絨毛癌の1例
近藤 沙織, 村中 愛, 近藤 理絵, 宮本 強, 伊東 和子, 加藤 清, 塩沢 丹里, 小西 郁生
信州大学医学部医学科産婦人科
卵巣胚細胞腫瘍の絨毛癌は稀な疾患であり,発生初期段階の経過は不明である.今回我々は子宮外妊娠を疑って経過観察中に,hCG産生腫瘍であることが判明した卵巣原発性絨毛癌の1例を経験したので報告する.症例は27歳,0回経妊,月経不順を主訴に2004年11月より当科を受診し,12月受診時(最終月経より8週4日),尿中hCG定性が陽性であり,定量にて尿中hCG 934 IU/lであったが,経腟超音波断層像にて子宮内膜は薄く胎嚢を認めず,付属器領域に異常所見を認めなかった.子宮外妊娠を疑い経過観察したが性器出血,腹痛は認めず,尿中および血中hCGは1000〜2000 IU/lと軽度高値のまま推移した.hCG産生腫瘍の存在も否定できないと考え全身検索を行ったが頭部MRIで下垂体腺腫が疑われたのみであった.2005年2月血中hCG 29756IU/lと急上昇を認め,左卵巣は径5 cm大と腫大し,充実性腫瘤として認められたため,hCG産生卵巣腫瘍と診断し,左付属器摘出術を施行した.術中所見では約500 mlの血性腹水を認め細胞診は陰性であった.左卵巣腫瘤を認め,病理組織診断はmixed germ cell tumor(choriocarcinoma+dysgerminoma)であった.現在全身化学療法MEA療法(メトトレキセート,エトポシド,アクチノマイシンD)を施行中である.卵巣絨毛癌の発生初期過程をとらえることができた症例であったと考えられる.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(3)
377-377, 2005
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