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第110回学術集会(平成17年10月15日(土),16(日))
【一般演題】
卵巣癌(5) 55歳でSeminomaの存在が明らかとなった精巣性女性化症候群の1例
中村 弘治, 森田 豊, 竹内 沢子, 疋田 裕美, 上田 万莉, 石田 友彦, 藤 孝一郎, 山本 幸彦, 丸茂 元三, 大橋 浩文
板橋中央総合病院産婦人科
精巣性女性化症候群では性腺腫瘍発生予防の見地から,性成熟期に両側性腺切除術を行うのが一般的だが,今回我々は55歳で直径16 cmのSeminomaを発症した貴重な症例を経験したので報告したい.55歳既婚女性.頻尿,残尿感および肝胆道系酵素の異常高値を認め精査目的で入院となった.患者本人および同胞,母系親族に原発性無月経の家族歴を認めた.体格は女性型体型,BMIは31であった.乳房,恥毛はそれぞれTannerの分類第4期,第2期であった.外性器は女性型で大小陰唇,陰核も正常であった.腟は7 cmの盲端で終わり,子宮,子宮頚部を認めなかった.染色体核型はXYであった.血液生化学検査にて血中テストステロンが高値を示した.旧厚生省研究班による診断の手引きから本症例を精巣性女性化症候群と診断した.MRIにて,径16 cmの内部構造が均一な充実性の骨盤内腫瘤を認めたが,子宮と卵巣は認めなかった.腫瘍切除のため開腹術を施行した所,腫瘍(重量1kg)は左鼠径管と精索と思われる索状物でつながっており,腫瘍は左性腺由来と考えられた.両側性腺を摘出し手術を終了した.病理組織学的にはSeminomaであり,mitosisの散在を認めた.術後,テストステロンは激減し,肝胆道系酵素値も半減した.本症例は病理組織像で強い脈管侵襲を認めたため,現在,シスプラチン,エトポシド,ブレオマイシンを用いたPEB療法を施行中である.また,本症の原因の90%を占めるとされるアンドロゲン受容体遺伝子の点突然変異についても遺伝子解析中であり,本症の病態解明の一助となれば幸いである.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(3)
379-379, 2005
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