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第114回学術集会(平成19年10月14日(日))
【一般演題】
子宮体癌(2) 術前化学療法によってpCRを得られた子宮体がん腟断端再発の一例
田所 重紀, 楯 真一, 松井 英雄, 海野 洋一, 平敷 好一郎, 平井 真紀子, 碓井 宏和, 三橋 暁, 生水 真紀夫
千葉大学婦人科
子宮体がん膣断端再発症例に対して術前化学療法を施行しpathological-CRを得られた症例を経験したので報告する.【症例】58歳女性.1年3ヶ月前に前医にて子宮体がんと診断され,単純子宮全摘出術と付属器切除術を施行された(endometrioid adenocarcinoma,Grade 1,T1bNxM0).不正性器出血を認め前医にて,腟断端再発を疑われて当科紹介受診となった.再発時所見では,腟後壁に限局する腫瘍性病変(径2〜3cm)を認めたが,両側の傍腟結合織への浸潤は認めなかった.組織学的には充実性の腺癌が確認された.パクリタキセル・カルボプラチン併用療法を施行した.化学療法中に腫瘍は縮小し,細胞診で腫瘍細胞の細胞異型の消失と核内構造の不明瞭化とを認めた.4コース後,腟摘除術・骨盤内リンパ節郭清を施行した.摘出標本には明かな腫瘍細胞はなく,腫瘍細胞壊死後の貪食を示唆するヘモジデリン沈着が散見され,pCRと考えられた.術後補助化学療法2コース施行し外来経過観察中である.【結語】早期子宮体がんに対する縮小手術が必ずしも最善策ではなく,再発の可能性を有していることを改めて認識した.腟断端再発に対するパクリタキセル・カルボプラチン併用療法は有効なレジメンであり,術前化学療法→手術という治療戦略の有用性が示唆された.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(3)
318-318, 2007
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