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第114回学術集会(平成19年10月14日(日))
【一般演題】
子宮体癌(2) MEA療法で著しい骨髄抑制を認めた侵入奇胎の一例
門脇 綾, 野中 愛子, 梅津 信子, 杉浦 賢, 木田 博勝, 中山 昌樹
横浜労災病院産婦人科
侵入奇胎では,メトトレキセート(MTX)単剤療法が第一選択となる.しかし15-25%でMTXが無効であり多剤併用を行わなくてはならない. 今回,MTX単剤療法が無効のためMEA(MTX,etoposide,actinomycin-D)療法を施行,著しい骨髄抑制,薬疹により化学療法継続困難となり,止むを得ず単純子宮全摘術を行った症例を経験したので報告する. 症例は,30歳1経妊0経産(7年前人工流産)特記すべき既往歴なし.他院で子宮内容除去術を2回施行後に尿中HCG再上昇,子宮筋層内異常陰影を認め,初回子宮内容除去術より7週後に紹介来院となった.当院でMTX単剤療法を3サイクル施行するも,尿中HCG値が再上昇したため,MTX単剤は無効と判断しMEA療法に変更した.1サイクルDay11から好中球数が0になり22日間GCS-Fを投与した.難治性下痢,口内炎,全身の皮膚剥離も出現,改善傾向を認めるのに約3週間の集中治療を要した. 著明な骨髄抑制の原因としては,MTXによる骨髄抑制のほかに,薬剤アレルギーやウイルス感染などが疑われたが,原因は特定できなかった.MEA療法4週後には血中HCG28.2mIU/ml,HCG-β0.4ng/mlまで低下を認めたが,その後2週間は低下を認めず,MRIでは子宮筋層の異常陰影が残存していた.抗癌剤による薬疹の可能性が否定できず化学療法の継続は困難と判断し子宮摘出を施行した.現在,術後3週目であり,化学療法を行わず血中HCG値フォローとしている.現在,血中HCG≦1.0mIU/ml,HCG-β≦0.1ng/mlであり,慎重経過観察中である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(3)
319-319, 2007
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