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第114回学術集会(平成19年10月14日(日))
【一般演題】
悪性腫瘍・その他(1) 術前に卵巣癌との鑑別が困難であった虫垂癌の2例
桑原 真理子, 奥田 順子, 小林 陽一, 吉岡 範人, 大原 樹, 鈴木 直, 木口 一成, 石塚 文平
聖マリアンナ医科大学産婦人科
虫垂は右卵巣卵管の近傍に位置することから,しばしば産婦人科領域の疾患との鑑別が必要である.今回我々は術前に卵巣癌と診断された原発性虫垂癌の2症例を経験したので報告する.【症例1】46歳,0経妊0経産.1ヶ月前から38.5℃の発熱を認め,下腹部痛も認めたことより当科受診.MRI上骨盤内に157×97mmの多房性・分葉上腫瘤を認め,内部に一部充実性の部分を認めた.腫瘍マーカーCA125 95U/ml,CA19-9 120U/ml,CEA 1.1ng/mlであった.開腹時,両側卵管・卵巣および腸管が高度に癒着しており,虫垂が右卵巣と癒着していた.卵巣は迅速病理検査で子宮内膜症性嚢胞であったが,虫垂部に腺癌を認め,両側付属器切除および回盲部腫瘍摘出術施行.術後病理検査で中分化型の虫垂癌であった.【症例2】55歳,2経妊2経産.下腹痛を主訴に前医受診,血液検査上CRP高値を認めたため,精査加療目的にて当院受診,MRIにて卵巣腫瘍の虫垂への浸潤が疑われた.腫瘍マーカーはCA125 10.3U/ml,CA19-910.9U/ml,CEA 10.0ng/mlであった.単純子宮全摘術+両側付属器切除+大網切除術+骨盤内リンパ節生検+回盲部切除術を施行.術中癒着が高度であり虫垂は確認できなかったが,術後病理診断は中分化型の虫垂癌であり右卵巣への浸潤を認めた.【考察】虫垂癌は,その部位から右卵巣腫瘍との鑑別が困難であるが,炎症所見の存在やCA125とCEA,CA19-9の値によっては虫垂癌の卵巣転移を念頭におく必要があると思われた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(3)
320-320, 2007
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