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第114回学術集会(平成19年10月14日(日))
【一般演題】
悪性腫瘍・その他(1) 周術期管理に苦慮した巨大卵巣腫瘍の1例
冨尾 賢介, 袖本 武男, 安水 渚, 橋本 耕一, 星野 寛美, 斉藤 一夫, 香川 秀之
関東労災病院産婦人科
【緒言】腹腔内臓器をすべて圧排するような巨大卵巣腫瘍を一期的に摘出した結果,術後急変を来たしたケースが報告されている.今回術前ドレナージ液も含めて72kgにも及ぶ巨大卵巣腫瘍に対しおよそ2週間のドレナージ後,二期的に摘出術を施行し,術後も概ね良好な経過をえた症例を経験したため報告する.【症例】33歳0経妊0経産.5年前から下腹部腫瘤を自覚していたが放置.2週間前までは普通に生活していたが,数日前より腹部膨満感が増強し歩行不能となったため救急車にて来院.来院時腹囲150cm.CA19-9 220700,CA125 179.3,CEA 557と上昇.呼吸苦はあるが意識清明でバイタルサインも比較的落ち着いていたため,持続的ドレナージ(およそ10L/day)にて腹腔内圧の減圧後,第14病日に左付属器切除術を施行した.術後は概ね順調に経過し,第41病日退院となった.病理診断では充実成分の一部にmucinous cystadenocarcinomaを認めたため,術後TC療法を6コース施行し現在までに再発,腫瘍マーカーの上昇を認めていない.【まとめ】循環動態のみならず,腹腔内の臓器,血管,自律神経等の圧迫が急激に解除されることで体内のホメオスタシスに急変を来たす可能性が示唆されており,巨大腹部腫瘤の摘出に際しては周術期管理に注意を要する.本症例をもとに周術期管理の要点と巨大卵巣腫瘍の報告について,いくつかの文献とともに考察する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(3)
321-321, 2007
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