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第115回学術集会(平成20年6月15日(日))
【一般演題】
奨励賞候補演題I 前置癒着胎盤に対して両側内腸骨動脈の一時遮断が有用であった一例
渡部 真梨1), 斉藤 寿一郎1), 吉岡 伸人1), 森川 香子1), 津田 千春1), 速水 麻紀1), 近藤 春裕1), 石塚 文平2)
聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院産婦人科1), 聖マリアンナ医科大学病院産婦人科2)
既往帝王切開術後の前置胎盤は癒着胎盤のハイリスクであり,帝切時に予期せぬ大量出血をきたし,母体死亡の原因となるため,術中出血のコントロールが重要となる.今回我々は,既往2回帝切後の前置癒着胎盤症例に対し,術前に両側内腸骨バルーンカテーテルを留置して,術中出血のコントロールを行い出血量を軽減し得た症例を経験したので報告する.症例は34歳,2経妊2経産.妊娠24週より前置胎盤を指摘され,妊娠25週2日に性器出血が持続したため当院へ母体搬送となった.胎盤は前壁付着であり,胎盤付着部の子宮筋層の菲薄化,子宮漿膜と膀胱壁の境界に血管増生を認め,MRIおよび膀胱鏡の所見から穿通胎盤を強く疑った.入院後も少量の出血が持続したため新生児科と検討し,児の成長を待って妊娠32週1日に帝王切開を予定した.十分なインフォームドコンセントのもと,術前に泌尿器科による尿管ステント留置術および放射線科による両側内腸骨動脈バルーン留置を行い帝王切開術を施行した.子宮体部縦切開にて児娩出後,胎盤は剥離しなかったため,子宮筋層切開創を閉鎖後,一期的に子宮全摘を施行した.その際,内腸骨バルーンの拡張・縮小を繰り返し出血のコントロールをはかった.術中出血量は3645mlで自己血1600mlの返血のみで対応可能であった.病理組織診断は一部percretaを伴うincretaであった.術前に大量出血が予測される症例の場合に,他科との連携をはかり事前に綿密な準備を整えることは非常に重要であり,術中出血量を軽減させるためには両側内腸骨動脈一時遮断が有用であると考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(2)
122-122, 2008
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