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第115回学術集会(平成20年6月15日(日))
【一般演題】
子宮筋腫 子宮筋腫表在血管の破綻が原因と考えられた腹腔内出血の一例
岩見 菜々子, 間瀬 徳光, 難波 直子, 竹内 沢子, 疋田 裕美, 上田 万莉, 石田 友彦, 藤 孝一郎, 山本 幸彦, 丸茂 元三, 森田 豊, 大橋 浩文
板橋中央総合病院産婦人科
子宮筋腫が腹腔内出血の原因疾患となることはまれであり,本邦においても数例の報告をみるのみである.今回我々は,子宮筋腫表在血管の破綻が腹腔内出血の原因と考えられた一例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.症例は47歳,1回経妊1回経産の女性.既往歴に特記すべきことなし.下腹部痛のため近医内科受診し,下腹部に強い圧痛を認め,CTにて腹水または腹腔内出血,直径10cm大の下腹部腫瘤を指摘された.婦人科疾患が疑われるとのことで,同日当院に紹介転院となった.来院後の内診,超音波にて,直径10cm大の下腹部充実性腫瘤を認め,卵巣腫瘍及び有茎性子宮筋腫を疑った.ダグラス窩穿刺にて腹腔内出血を疑う血性腹水を認めた.さらに採血にて貧血の進行を認め,卵巣出血または子宮筋腫などによる出血の可能性を考え,緊急開腹術を施行した.開腹時に多量の腹腔内出血貯留を認め,子宮底より発生した有茎性漿膜下筋腫の表在血管からの持続性出血が原因と考えられた.両側付属器は正常であり,他の部位に出血点を認めず,子宮筋腫を核出し手術終了とした.腹腔内出血は1640mlあり,核出した子宮筋腫は直径10cm大,重量470gであった.術後,Hb6.7g/dlまで低下したが,鉄剤の投与にて回復し経過良好にて退院となった.病理所見にて摘出腫瘤が子宮筋腫であることを確認し,悪性所見など異常は認めなかった.子宮筋腫が原因となる腹腔内出血は稀ではあるが,緊急処置を要する腹腔内出血の鑑別診断として考慮される必要があると考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(2)
127-127, 2008
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