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第110回学術集会(平成17年10月15日(土),16(日))
【一般演題】
子宮悪性腫瘍(1) 術後巨大リンパ嚢胞に経皮的持続ドレナージと硬化療法が奏功した一例
広瀬 健, 松尾 公美子, 窪田 文香, 高木 靖
諏訪赤十字病院産婦人科
術後リンパ嚢胞は骨盤内リンパ節郭清後の患者の約30%に発症すると報告されている.また,疼痛・感染・下肢の浮腫や血栓症・尿管の圧迫による水腎などの症候を呈するのは5〜7%とされている.これに対して抗生物質を用いた保存的治療を試みる場合が多いが,時に症状が長期間持続したり増悪する症例に遭遇する.その際の治療法の選択として,開腹術による外科的ドレナージ(奏功率50〜70%)や後腹膜開窓術(90%以上)があるが患者への侵襲が大きく,また通常の嚢胞穿刺では十分なドレナージができないことが多く,再発も懸念される. 今回我々は,34歳の1回経産婦で子宮頚部腺癌1b2期にて広汎子宮全摘術と骨盤内リンパ節郭清を施行し,術後化学療法(PAM-5)2コース施行したところ,術後2ヶ月で下腹痛,発熱,左下肢痛・浮腫を主訴とする巨大リンパ嚢胞(18×8×6 cm)を認めた.抗生剤の投与にても症状軽快せず,入院後14日目に超音波ガイドおよびX線透視下にセルディンガー法を用いた経皮的持続ドレナージを施行した.穿刺後,直ぐに解熱し疼痛も緩和され1週間で総排液量910 mlに達した.ミノサイクリン(500 mg)注入による硬化療法を追加してカテーテルを抜去したが,その後も経過は良好である. 術後症候性リンパ嚢胞に対して,1週間以上の経皮的持続ドレナージを施行し,ミノサイクリンを用いて嚢胞部分の組織を硬化させ再発を予防する硬化療法は,肝嚢胞,腎移植後の嚢胞の治療に用いられている手技を援用したものだが,侵襲も小さく安全で,奏功率(90%)も高く,術後リンパ嚢胞に対する治療の有望な選択肢と考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(3)
325-325, 2005
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