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第110回学術集会(平成17年10月15日(土),16(日))

【一般演題】
卵巣癌(1)
長期生存しえた卵巣肉腫の1例


信田 政子1), 村上 優1), 石黒 葉子1), 渥美 治世1), 永瀬 絵里1), 高橋 千果1), 佐藤 茂1), 平澤 猛1), 篠塚 孝男2)
東海大学医学部付属大磯病院産婦人科1), 綾瀬厚生病院産婦人科2)


 卵巣肉腫の発生頻度は低く,充実性卵巣腫瘍の0.7%と極めて稀な疾患とされている.予後は非常に悪く,I期であっても不良な経過を辿る例がある.また,特異的な臨床症状,腫瘍マーカー,画像所見を欠くため術前診断は困難で,治療法としては手術療法が第1選択とされ補助療法に関しては確立されたものはない.今回,術後病理診断にて卵巣肉腫と診断され比較的長期生存している症例を経験したので報告する.症例は70歳,3経妊3経産,平成15年8月下腹部痛を主訴に前医を受診.骨盤内腫瘍を指摘され精査目的に当院紹介.MRIにて20 cm大の骨盤内充実性腫瘍を認め,同年9月12日手術施行.開腹時,左卵巣が30 cm大に腫大し直腸に直接浸潤しており腹式子宮全摘・両側付属器切除・低位前方切除術を行った.術後病理組織診にて左卵巣原発肉腫でIIIc期と診断された.術後追加療法として多剤併用療法(イホスファミド・ネダプラチン・塩酸ピラルビシン)を行ったが,骨髄抑制が強く出現したため2コースで終了.その後外来経過観察としたが,平成17年4月に下血出現.精査にて腹腔内の再発腫瘍が小腸に直接浸潤したためと考えられ,同年4月27日腫瘍摘出・小腸部分切除術を行った.術後病理組織診でも肉腫の診断であった.卵巣肉腫の予後は極めて不良とされているが,本症例は経過中再発を認めたものの発症より1年10ヶ月生存している.本症例に文献的考察を加えて報告する.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(3) 327-327, 2005


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