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第110回学術集会(平成17年10月15日(土),16(日))
【一般演題】
卵巣癌(2) PETで診断が特定出来なかったPSCPまたはSSPCの1症例
矢追 正幸, 濱田 佳伸, 杉山 紀子, 林 雅敏, 大藏 健義
獨協医科大学越谷病院産婦人科
【緒言】今回我々は,卵巣が正常大で腹水細胞診がadenocarcinomaであった原発不明癌に対しておこなった化学療法で治療抵抗性を認めた.PETの結果,原発不明のまま開腹術を行い,PSCP(primary serous carcinoma of the peritoneum)またはSSPC(serous surface papillary carcinoma)と診断した1症例を経験したので報告する.【症例】症例はM. M 69歳女性,2回経妊,2回経産婦.家族歴には特記すべき事なし.既往歴に24歳で子宮筋腫核出術試行経験あり.平成14年2月5日,精査目的受診となる.初診時の超音波エコー所見は子宮と両側卵巣は正常大,子宮内膜は8.7 mmと肥厚し,ダグラス窩に少量の腹水を認めた.検査結果は,子宮内膜組織に異常なく,ERとPRGは5.0以下と正常値であった.また,腫瘍マーカーのCEA値は1.1(ng/ml)と正常値であったが,CA125値は3016.8(U/ml)と高値を認めた.腹水細胞診がadenocarcinomaのために,外科依頼し精査したところ,原発巣の特定は出来なかった.卵巣癌を疑い患者と家族の同意のもとに,NACとしてmonthly TJ療法(taxol 175 mg/m2,CBDCA AUC=5)を開始した.1クール後では,少量認めた腹水貯留の消失を認めた.2クール目よりweekly TJ療法(taxol 80 g/m2,CBDCA AUC=2)を試行し,CA125値が4クール後に正常値となった.その後CA125値を指標にweekly TJ療法を施行していたが,15クール後に治療抵抗性を認めた.原発巣の特定を目的としてPETをおこなったが特定できず,開腹術を行ってPSCPまたはSSPCと診断した.【結論】今回我々は,臨床所見がほとんどない症例に対し,PETを利用したが原発巣不明で開腹するまでに検討時間を要した症例を経験した.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(3)
328-328, 2005
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